あるいは平凡な一日

料理を食べると、キャラクターは一時的にさまざまな強化を得る。
キャラクターの役割と、いい料理とがうまく組み合わさると、
すごい力を発揮できたりするんである。
シーフなんかをやったりしている籠入りの場合、
「スキッドスシ」という、日本語でいうと「イカの寿司」が手ごろでいい。

イカは、釣竿を垂らして釣ることもできるが、
籠入りはあまり釣りのほうは得意ではないので、
他人が釣ってきたイカを仕入れに行く。
そうなると、世界の取引の中心地であるジュノへ行かなければならないんである。

久しぶりにイカの相場を見てみると、ずいぶん安くなっている。
以前なら1杯で5000ギルしていたのが、2000ギル。
近くのクフィム島で獲れたばかりのイカを競り落とす。
もちろんすぐにさばいて握る。イカ1杯でスシ6つ。
これでとりあえずしばらくはもつだろう、なんてことを考える。
・・・しばらくはもつだろう、って。
寿司ですよ。ナマモノですよ。もちませんよ。
・・・というツッコミを期待したいのだけれど、
FF11の世界に慣れてしまった人は、そうは考えない。
なんと、ヴァナ・ディールでは、食べ物は腐らないんである。

さて、と自宅に帰って部屋を見回してみると、
ずいぶんたくさんの釣り餌が積みあがっている。
エビをすり潰して作るエビダンゴだ。（調理人はこんなこともする！）
これ、友人の釣り人にあげるつもりで作ったものだけれど、
糸が切れるまで使えるルアーに乗り換えたため、余ってしまったのだ。
そこで、これを使い切ろう。
前述の通り、別に腐るわけではないけれど、
やっぱり部屋の片隅に釣り餌がたくさん積み上がってると邪魔。おまけに生臭い。
この餌を使って、いま欲しい魚が釣れる場所を考える。
それは、南の島の洞窟だ。

ジャングルはじとっと暑い。
いちおうこれでも熟練した冒険者である籠入りに危険はないけれど、
暑さだけはしょうがない。
冬に買った青い長袖を着続けているけれど、
そろそろ考えたほうがいいな、夏も近いし、なんて。
そんなことを思いながら歩いていると、スコールが降ってきた。
あわてて、大きな帽子の左右をぐっとつかんで走っていく。

その洞窟は、海蛇の岩窟、と呼ばれている。
ところどころに海水が噴き出していて、そこが釣りのポイントとなる。
しばらく釣り糸を垂らした結果、
ネビムナイトというオウム貝がたくさんと、
さらにその親玉のような、グリモナイトってやつが１匹釣れた。
この親玉、熟練した釣り人ならば、それなりに釣れるものだけれど、
残念ながら釣りのほうは苦手な籠入りのこと、
引き上げるときにバラしたり、糸が切れたりと散々だった。
１匹といえども、釣れたのは、果てしなくまぐれというものだ。

それ以外では、びしょびしょに濡れそぼった巻物が２巻。
一見何も書いていないように見えるが、
ある手段で、文字を浮かび上がらせることができるため、
意外な高値で買い手がつくのだった。

そして、ノーグ貝と呼ばれる貝も竿にかかった。
この洞窟には、半魚人のサハギン族が住んでいるのだが、
その中の、ある人物にこの貝を渡すと、
貝を削って、洞窟の奥地へ続く扉のカギを作ってくれるらしい。

しかし、この洞窟の中には、カギの扉のほかにも、
サハギン族など獣人たちの使う貨幣をはめこまないと
開かない扉がある。
いま目的とする人物に会うには、獣人銀貨というコインが必要だ。
これを手に入れるのは簡単である。
なにせ、籠入りはシーフ（盗賊）なのである。
シーフならやることは決まっているのである。
近くをうろうろしているサハギンの懐をさぐってみると・・・

Brook Sahaginから獣人ミスリル貨を盗んだ。

間違えた。
そのサハギンは怒って攻撃してきたので、返り討ちにしてしまう。
それは盗賊というより強盗殺人である。
そうすると、こんどは海蛇の箱のカギがころっと転がり出た。
このカギは、この洞窟のどこかに置かれていることのある
木箱を開くためのカギである。

先ほどの反省を活かし、
別の、もうすこし弱そうなサハギンの懐を狙ってみる。

Lake Sahaginから獣人銀貨を盗んだ。

こんどは、盗むと一目散にとんずら。
それでこそシーフである。
どちらにせよ褒められたものではないのである。

ともかく、獣人銀貨をはめこむと、目的の扉は開いた。
その奥を探索していると、運良く、
さきほどのカギに対応する木箱が落ちていた。
開けてみると、それなりのお金が入っていたので、
ありがたく頂戴する。

目的とする人物（サハギンだけど）はいちばん奥でこそこそしている。
獣人の中でも、人間の国に攻め込んでくるオーク族などとは違い、
サハギン族は人間を避けて暮らす傾向があるが、
意外に流暢な人間語を話すんである。
この不思議についても、じっくり研究していきたい。
何にせよ、代金を渡して、サハギンのカギを作ってもらった。

再び帰宅し、本日最後の大仕事は、料理人修行。
先ほど、まぐれで釣れたグリモナイトを使って、
魚介類を贅沢にいただくタブナジア風タコスを作る。

グリモナイトに、シイラ、鯛、煌魚の卵の塩漬け（キャビア）、
リンゴ酢、カブ、ボスディン産の菜っ葉、人参、を具として、
トウモロコシ粉を練って焼いたトルティーヤではさみ、
トマトやカザム特産の辛子などから作ったサルサソースをかけて完成。

ふだんの料理は、家とか街中のお店など、適当な場所でやっているのだが、
修行のための本気の料理のときは、
籠入りが所属している調理人ギルドへ行く。
ここで、先輩調理人のパワーをもらって集中して料理するわけである。

すると、運良く調理技能がアップした。
具体的には95.9だったのが、96.0になった。
たったの0.1だけれど、ゴールの100までの道のりを考えると
大きな0.1なのだった。
ゴールまで、丁度あと4となったが、
その4もまた果てしなく遠いんである。

・・・試みに一日の行動を全部書いてみたらたいへんな長さになった。
もうこんな長いのは書かないと思うけど言い切れません。

この一日でやってきたことは、つまり、冒険の準備なのだけれど、
遠足の準備と同じで、準備も楽しいのだ。
とはいえ、これから血沸き肉躍る大スペクタクル冒険譚が、
始まるわけでもない。