2005年8月23日 00:16

FF11を知らない方/やめた方のための「THE STAR ONIONS」収録曲ガイド

※内容は、発売後に書き直すかもしれません

当サイト「Merry Minstrel Meadhouse」は、
「ファイナルファンタジーXI」というゲームに関連して
「Webサイト・携帯電話への音素材提供」 と 「楽曲についての情報提供」
を2本柱にしているつもりです。

「楽曲についての情報提供」といっても、
筆者は、楽器や作曲について、人並みの知識しか持っていませんので、
もっぱら、
FF11についてよく知らない方に、曲を聴く手助けとなる情報を、
と考えて書いてきました。
特にFF11の音楽は、実際に遊んだプレイヤー数が少ないことと、
もともとBGMであるゲーム音楽の中でも、BGMらしい、つまり
曲単体では聴きづらい、聞き流してしまうような曲が多いことから、
この種の情報を求める方が多いのではないかと考えたためです。

さらには、長年、FFシリーズの楽曲を手がけてきた植松伸夫さんが、
FF11では、半分退いたような形になっていることから、
元来のFF音楽ファンは、11番目を欠番と考えてしまったかもしれません。
「それは、もしかすると、もったいないよ」という気持ちも込めて
FF11プレイヤーにとっては、当たり前のようなことを
各楽曲に添えて、提供している次第です。

そして、今回のアレンジアルバム「THE STAR ONIONS」です。
「FFは知ってるけど、11番は知らない」方が手に取るかもしれません。
曲名を見ても、ナンノコッチャと思ってしまわれるかもしれません。
楽曲そのものは、ゲームを知らなくても、
聴いて楽しめるものになっているだろうと思ってはいますが、
収録曲を楽しまれた上で、「これ、何の曲?」と気になる方のために、
いつもの調子で一文をものしても良いのではないかと考えました。

なお、原曲のMIDIデータは、10曲中4曲が当サイト内にあるほか、
曲名別リンク」からも探すことができます。


THE STAR ONIONS
FINAL FANTASY XI - Music from the Other Side of Vana'diel


01. Vana'diel March
02. Metalworks
03. Rolanberry Fields
04. Kazham
05. The Forgotten City - Tavnazian Safehold
06. Mog House
07. The Sanctuary of Zi'Tah
08. Awakening
09. Selbina
10. Blessed in Her Glorious Light -The Grand Duchy of Jeuno-
  女神の光に包まれて -ジュノ大公国のテーマより-

これらほとんどの曲(01. 06. 08. 以外)は、
街やフィールドといった場所を歩いている時に流れる曲なので、
まずは世界地図を開きつつ、以下のガイドを読んで頂ければと思います。
以下、楽曲についての記述は、「THE STAR ONIONS」でアレンジされた楽曲ではなく、
基本的にゲーム中で流れる原曲のほうに基づいていますのでご了承ください。


01. Vana'diel March
- FINAL FANTASY XI Original Soundtrack より

使用場面:タイトル画面(「プロマシアの呪縛」以降は、タイトル画面の2曲目)

Vana'diel March Vana'diel March

「Memoro de la S^tono (石の記憶)」とともに、FF11という世界の基底音となっている曲。
「Memoro ~」が、神を、世界の広さを、人類の気高さを壮大に歌っているとすれば、
この曲は、大地の堅さ、その上で生きる人々の足音、
賢くも愚かでもある人間たちの日常を歌っているように思います。
作曲は、水田直志さん。(ちなみに、「Memoro de la S^tono」は植松伸夫さん

シナリオ上の重要場面で流れる頻度は、
(多数あるアレンジ曲も含め)「Memoro ~」のほうがずっと高いですが、
この世界に触れたプレイヤーたちの心にしみ込んでいる度合いでは、
圧倒的に「Vana'diel March」が勝ることと思います。
というのも、この曲は、FF11の世界を訪れるときに、
プレイヤーが必ず、毎回耳にする、タイトル画面で流れる曲だったからです。

拡張ディスクの「プロマシアの呪縛」を導入すると、
タイトル画面の曲が「Unity」に変わります。
FF11プレイヤーは、この曲に違和感を覚えた方が多いようです。
筆者自身も、「こんなに胸を張って歩いていていいのか?」と思いました。
個人的な意見を言えば、派手でかっこいいばかりではない、冒険者たちの、
泥臭い日常のにおいが失われたように感じたのでした。
曲そのものは、「Unity」のほうが、爽快で飽きがこないと思うのですが。
おそらく何百回、あるいは何千回と「Vana'diel March」を聴いたプレイヤーたちですら
新曲を喜ぶよりむしろ違和感を覚えるほど、
この曲は、FF11プレイヤーの心にしみ込んでいるのです。

ちなみに、「プロマシアの呪縛」導入後でも、
「Unity」が最後まで流れ、フェードアウトした後で、「Vana'diel March」が始まります。
あるいは、「Vana'diel Bench」でもこの曲が流れているので、
FF11を持っていない方でも、
ベンチマークが動く環境があれば、ダウンロードして聴くことができます。


02. Metalworks
- FINAL FANTASY XI Original Soundtrack より

使用場面:バストゥーク共和国の中枢、大工房(Metalworks)

Metalworks Metalworks

バストゥーク共和国――
クォン大陸の南方に、技術に長ける民ヒュームが建国したバストゥーク共和国。

伝説ある騎士団を持つサンドリア王国、
魔法大国ウィンダス連邦などにくらべるとその歴史は浅いが、
ヒュームの産業に対する臭覚がバストゥークの急速な発展をもたらした。
数年毎にヒュームの中から選出される大統領が、主導的に国政を担っている。

元々は希少金属ミスリルの鉱山から発達した街だったが、
金属の精製や加工が盛んになった昨今では、むしろ工房都市として名高い。
街の南部には、腕力に秀でたガルカ族が多く住み、
採掘や鉱山開発に大きく貢献しているが、
ヒュームとの間にある確執は根深い。
(公式サイトより) →公式サイト

FF11のゲームを始めるときには、キャラクターが最初に降り立つ、
そして、公認冒険者として所属することになる国を、上記の3つから選びます。

最終的には、どの国を選んでも、それほどプレイに影響はないのですが、
最初の国を拠点にする間の、序盤のプレイの様子が変わってくるかもしれません。
そして、最初にどの国を選ぶかということは、
「始めたばかりのころの思い出」を、どの場所でつくるか、ということでもあります。
所属国は、後で変更することもできるのですが、
最初に選んだ所属国に対する思い入れの強いプレイヤーが多いのも、そのためでしょう。

バストゥーク共和国といえば、
プレイヤー同士のアイテム等の取引きが特に盛んな国だったというイメージがあります。
大半のプレイヤーが、4つめの国、ジュノ大公国を拠点にしている現在では、
昔ほどの盛んな取引きはありませんが、
工業国らしく、機能性が重視された街並みになっているために、
明確な目的を持ってやってくる冒険者にとっては、歩きやすい街だといえるでしょう。

そんなバストゥーク共和国の中枢部が、大工房です。
大統領府や各国の領事館、もちろん工房というだけあって様々な研究開発の拠点と、
国家の重要な機関が、大きなひとつの建物の中に集まっています。

水車が回り、金槌の音が響き、忙しく動いているエレベーターがあり、
冒険者にとっては、のんびり過ごす場所ではなく、目的を達するための場所でしょう。
とはいえ、もちろん、バストゥークの先端技術がわかるこの場所を、
観光に訪れる価値は充分にあります。

バストゥークの街なかと、その周辺の荒野グスタベルグとともに、
この大工房のテーマ曲も、谷岡久美さんが作曲されています。
FFクリスタルクロニクルなどの曲を手がけられた方です。


03. Rolanberry Fields
- FINAL FANTASY XI Original Soundtrack より

使用場面:ジュノ大公国に面する、デルフラント地方・ロランベリー耕地(Rolanberry Fields)

Rolanberry Fields Rolanberry Fields

ロランベリー耕地――
ヒューム族やエルヴァーン族に好まれる果実、ロランベリーを栽培している広大な果樹園。
段々畑にして、日当たりや通風に微妙な差をつけることで、年中収穫できる工夫が施されている。
また、デルフラント半島の突端にあたる場所には、三つの巨大な橋がかけられている。
ひとつはジュノへと到る市場橋、
ひとつはノルバレン地方へと到る『ボーリスブル卿の橋』、
そして、もうひとつはジュノ海峡を越えミンダルシア大陸と結ばれた『ジュノ大橋』である。
(PlayOnline「ヴァナ・ディール観光ガイド」より) →公式サイト

祖国を旅立った冒険者は、(正確には、所属国ですが、そんな気持ちだと思います)
次にマウラや、セルビナといった港町を訪れることになります。
そして、そこでさらなる経験を積んだ冒険者が、
その次に目指すのは、地理的にも政治的にも、2つの大陸を結ぶ要衝に位置する、
ジュノ大公国です。
しかし、そこへの道のりは、簡単なものではありません。
ようやくセルビナを旅立った冒険者が、
雨の降りしきる、じめじめしたパシュハウ沼を抜けた先に、
ロランベリー耕地があります。

パシュハウ沼を、モルボルから逃げつつ水しぶきを上げて突破してきた冒険者にとって、
天気もおだやかで、切り開かれた道の続くロランベリー耕地は、
初めて、遠い祖国に想いをはせる場所かもしれません。
ひと息つくところで流れる、この、ゆったりした、寂しげな曲に聴き入ると、
なおさらそんな気持ちになるかもしれません。
作曲は水田直志さん


04. Kazham
- FINAL FANTASY XI ジラートの幻影 Original Soundtrack より

使用場面:ジャングル繁る南の島・エルシモ島の玄関、カザム(Kazham)という港町

Kazham Kazham

カザム――
エルシモ島の北端にある漁村。
約400年前に殖民したと伝えられる。ミスラの支族が村民の大半を占め、
狩猟や漁労を生業として暮らしている。
カザムは自治権を有しており、
族長ジャコが開く集会によって、様々な案件が決定されている。
(公式サイトより) →公式サイト

祖国を離れ、はるばるとジュノ大公国までやってきた冒険者は、
そこを拠点にして、様々な辺境の地へ旅立つことになります。
2つの大陸からは南東に位置するエルシモ島へは、
ジュノの港から、飛空艇に乗って行くことができます。

エルシモ島は、火山地帯を除く大半が熱帯雨林となっている、
暖かく水の豊かな島です。
飛空艇から、南の島に降り立った冒険者は、
初めての南国の空気を呼吸し、独特の音楽に耳を傾けるでしょう。
作曲は水田直志さん

波の音が響き、水と果物が豊富にあり、
猫のような耳と尻尾を持つ、ミスラ族の女性ばかりの港町は、
バカンスには最高の土地かもしれません。
しかし、一歩でも町を出れば、冒険者たちにとっては
手強いモンスターが数多くうごめく、冒険の舞台となるのです。


05. The Forgotten City - Tavnazian Safehold
- FINAL FANTASY XI プロマシアの呪縛 Original Soundtrack より

使用場面:戦争で失われたタブナジア侯国の、生き残りが隠れ住む、タブナジア地下壕(Tavnazian Safehold)

Tavnazian Safehold Tavnazian Safehold

タブナジア侯国の生き残りが、逃げ込んだ地下施設を拡張して築いた集落。

廃墟と化した地上の都市は、今も獣人軍残党が占領しているため、
この地下壕では何事も生残を第一に考えられている。

故に、大陸随一の豊かさを誇った頃の侯都の華やかさこそないものの、
長期生活を支える集落としての最低限の機能は備えられているようだ。
(公式サイトより) →公式サイト

タブナジア侯国は、いまは失われた国。
その滅亡の様子は、FF11のオープニングムービーで見ることができます。

人類(プレイヤーが選択できる、5つの種族の総称)と
獣人(人類に敵対していて、高い知能を持つ各種族の総称)の間で起きた戦争。
その末期に、数十万ともいわれる膨大な数の獣人軍がタブナジアの街を襲い、
街は一夜にして焼け落ちました。
その後、獣人軍を束ねていた「闇の王」が討たれたことによって獣人軍は敗北し、
まとまりを失った各獣人族と人類が散発的に戦っているのが、現在の世界情勢です。

「プロマシアの呪縛」のシナリオにおいて、
このタブナジア侯国滅亡後の生存者が発見されます。
彼らは、いまだ危険なタブナジアの廃墟からは離れた場所に、
地下壕を作り、そこで二十年以上も、他国から隔離された生活を営んでいました。

街の構造としては、深い穴の中という立地上、
縦方向に長い階層構造を持っており、
中央の螺旋回廊で各階層を昇り降りするようになっています。

冒険者にとっても、危険地帯が多く、
シナリオ上でも、激しい戦いが続くことになるタブナジア群島の中で、
唯一、腰をおちつけられる場所として、
ゆったりとこの曲を聴く機会があることでしょう。
作曲は水田直志さん


06. Mog House
- FINAL FANTASY XI Original Soundtrack より

使用場面:冒険者たちの休息の場所、モグハウス(Mog House)やレンタルハウス

Mog House Mog House

冒険者たちは、野宿しないときは、どこで寝泊りするのでしょう。
ゲームによっては、キャラクターの自宅が出てきたり、
宿を借りてみたり、そのあたりの描写が省略されていたり、
様々な形で表現されています。

FF11の場合は、国からの公認を受けた冒険者ということになっていますから、
国が、冒険者むけの宿舎を用意してくれています。
それが、モグハウス。
名前の由来となっている、人類に友好的な獣人の一種であるらしいモーグリ族が、
各部屋にひとりずつ待機していて(見えないところで掛け持ちしているかもしれませんが)、
冒険者を「ご主人さま」と呼び、
アイテムの預かりなど、いろいろな世話を焼いてくれます。
激しい戦闘を繰り返す冒険者にとっては、大切な休息をとる場所。
そこで流れる曲は、やはり落ち着いた曲です。
作曲は水田直志さん

冒険者の所属国ではない国ではどうするのかというと、
国から一時的にレンタルハウスを借りて、モグハウスと同じように利用します。
そこで流れる曲も、もちろん同じ。
ただし、手に入れた家具を設置してレイアウトを楽しめるのは、モグハウスだけです。

また、お金を払って寝泊りするような宿屋は、ゲーム的には存在しません。
宿屋はあり、宿泊客はいますが、そこでは、冒険者は買い物ができる程度です。
HPやMPのようなステータスは、じっと座っているだけで回復していくのです。

ならばモグハウスやレンタルハウスは要らないのかというと、そんなことはなく、
アイテムの出し入れや、冒険者としてのジョブ(職業)を変更したりと、
どこかへ冒険に出かけるときには、たいていモグハウスから出発するものです。
それに、気持ちの上でも、野宿ばかりでは落ち着かないではありませんか。


07. The Sanctuary of Zi'Tah
- FINAL FANTASY XI ジラートの幻影 Original Soundtrack より

使用場面:リ・テロア地方、長年、訪れる者は稀であった、聖地と呼ばれる、ジ・タの森(The Sanctuary of Zi'Tah)

The Sanctuary of Zi'Tah The Sanctuary of Zi'Tah

聖地ジ・タ――
ミンダルシア大陸の北端リ・テロア地方の、陸からの入口にあたる鬱蒼とした針葉樹林。
樹齢数千年を数える大木も珍しくない森の中は、少量の日光しか届かず、昼なお暗いが、
時折、点在する岩の先端部が発光し、辺りを不気味に照らし出す怪現象が見られる。
このような超常現象のせいもあってか、この地はヴァナ・ディールの人々に神域と信じられており、
ロ・メーヴへの巡礼者と不信心なゴブリンの追い剥ぎ以外、長い間、訪れる者は稀だった。
(公式サイトより) →公式サイト

聖地と呼ばれる割に、シナリオ的には、あまり重要な出来事は起きず、
何かをしにいくというよりも、そのための通り道となることのほうが多いでしょう。
しかしそれゆえに、あまり人もいない、のんびりと散歩をするにはいい場所です。
深呼吸をしたくなる、静かな森です。
人里離れた、神秘的な現象の起きるこの場所にふさわしい、
哀愁のただよう曲は水田直志さんの手によるもの。

ただし、最近まで、誰も足を踏み入れていなかった場所であるだけに、
熟練した冒険者でなければ、危険もそこそこにありますので、森林浴の際はご注意を。


08. Awakening
- FINAL FANTASY XI Original Soundtrack より

使用場面:ゲームストーリー上の大きな山場となる、闇の王との戦闘

「Awakening」とは「覚醒」。Shadow Lord(闇の王)との戦闘曲です。
「ジラートの幻影」以前のメインシナリオにおける最終ボス戦でもあります。

FF11プレイヤーの間では1,2を争う・・・あるいは、
もしかすると、ダントツで首位を走る、ほどの、
この人気曲を手がけられたのは、谷岡久美さん
FF11の戦闘曲の中では唯一、水田さん以外の方が手がけられています。
曲の半分は打楽器では、と感じるほど、激しいビートの嵐は、
谷岡さんの楽曲としても、FF11の楽曲としても、特に異彩を放っています。

かつて、FFシリーズといえば、長い長いラストダンジョン、
と言われた時代があります。
最初に選べる6つのジョブ(職業)が、FFの第1作目と同じである、など、
明らかに初期のFFシリーズを意識した面を多数持つ、FF11というゲームですが、
「ジラートの幻影」発売以前でのラストダンジョンともいえる、
闇の王の許へたどり着くまでの長い道のりも、
あるいは、かつてのFFシリーズの継承なのでしょうか。

その長い道のりを、道中で流れる楽曲の曲名で表すと
「Xarcabard」~「Castle Zvahl」~「Shadow Lord」となりますが、
寂しく恐ろしい雰囲気を次第に盛り上げていきこの場面に到達する道のりは、
グラフィック・音楽とも、このゲーム中随一の演出ではないかと思います。

筆者は、「ジラート」「プロマシア」の最終ボスにもたどり着いていないので、
はなはだ頼りない感想ではありますが。


09. Selbina
- FINAL FANTASY XI Original Soundtrack より

使用場面:パーティプレイを始めて間もない、初々しいキャラクターたちの集う、港町セルビナ(Selbina)

Selbina Selbina

セルビナ――
かつては、ミンダルシア大陸との海運の要衝として栄えた自治都市。
しかし、飛空艇輸送が盛んになった昨今では、
地場産業である漁業と牧畜中心の田舎町に、徐々に戻りつつある。
(公式サイトより) →公式サイト

冒険を始めたばかりの冒険者も、
レベルが上がるにつれ、だんだんと、祖国から離れた場所まで出かけるようになります。
そして、いよいよ祖国を旅立った冒険者が向かうのは、
このセルビナや、同じ港町のマウラです。
この、別々の大陸にある2つの港は、船で結ばれています。

セルビナを拠点にした冒険者は、そろそろ、
レベルを上げるための鍛錬を、一人で行うことに難しさを感じ、
パーティを組んでモンスターと戦うようになっているでしょう。
慣れないパーティプレイのゆえに、
パーティの全滅を喫してしまったり、一斉に走り出して町に逃げ込んだりするのは、
冒険者ならば、誰もが経験することです。
そうした混乱を救うために、高レベルのプレイヤーが
助けの手を差し伸べるのも、ここでは珍しい光景ではありません。

ウィンダス連邦に属するマウラが、のどかな港町なのに対して、
自治都市セルビナは、活気あふれる港町。
冒険者の姿も、セルビナのほうがずっと多く見られるでしょう。
曲も、その2つの港町の様子によく似合う、
穏やかなマウラと、そしてこの、踊るようなセルビナの2曲です。
ともに、作曲は水田直志さん


10. Blessed in Her Glorious Light -The Grand Duchy of Jeuno-
  女神の光に包まれて -ジュノ大公国のテーマより-

- FINAL FANTASY XI Original Soundtrack より

使用場面:大半の冒険者が活動の拠点としている、交通の要衝・ジュノ大公国(The Grand Duchy of Jeuno)

The Grand Duchy of Jeuno The Grand Duchy of Jeuno

ジュノ大公国――
クォン大陸とミンダルシア大陸を結ぶ
東西交通の要衝『ヘヴンズブリッジ』の上に形成された新興の都市国家。
重商主義・中立主義を国是とし、
関税を始めとする様々な国家規制が他の国に比べて緩い。
そのためか、ヒューム族の商人からゴブリン族の職人まで、
様々な種族・職業の者が絶えず流入し、国際色豊かな街並みを形成している。

また、古代の失われた技術を伝える唯一の国としても知られ、
その産物のひとつである飛空艇は、
今や諸国間の欠かせない高速交通手段となっている。

十数年前の獣人軍の大攻勢に際しては、
小国ながら人の諸国を束ねる盟主の役割を演じ、
アルタナ連合軍を結成して、これを撃退した。
(公式サイトより) →公式サイト

これまでのガイドで、
冒険者は、そこを越えて、あそこへ向かい・・・などと書いてきましたが、
それは、あくまでひとつの例なのです。順番は決まっていません。
強い冒険者の助けを借りて、始めたばかりの冒険者が新しい町へ行くこともできる。
新しい町に馴染めなかった冒険者が、祖国へ帰って別の道を探ることもできる。
冒険者の数だけ、進め方や戻り方があります。

しかし、ひとつだけ確実なことは、
すべての冒険者は、いずれ、ジュノ大公国をめざすということ。
なぜならば、そこには、
祖国の風景以外に、見つからないものはほとんどないからです。

他の3国と違い、公認冒険者を募集していないにもかかわらず、
大半の冒険者が、日々の冒険の拠点としている、ジュノ大公国。
そこには、最も新しい国でありながら、栄光が約束されているかのような、
商業的・政治的・軍事的な成功の歴史がありました。
そして、ル・ルデの庭に居を構える、謎につつまれたジュノ大公兄弟。

都市の構造は、タブナジア地下壕とは逆に、高い塔を構え、
塔の各層から、2つの大陸に向けて、3つの橋がかけられ、
その大きく長い橋の上に街が作られているという、
他国の建築と比べて驚愕といって良いほどの高度な作りになっています。
塔の中心部分には、各国に所属する冒険者のためのレンタルハウスがあり、
塔の頂上は、国家の中枢部のあるル・ルデの庭が占めています。

国の規模自体は、領土・人口ともに小規模ですが、
常に冒険者であふれかえっているために、大都市のイメージがあります。
そんな、ル・ルデの庭を除くジュノの街全域で流れている優雅な曲です。
作曲は水田直志さん

冒険者が多く集まっているために、
同じ目的を持った冒険者を募りやすく、便利になるという循環。
石を投げれば冒険者に当たる、というほどの過密ぶりであるがゆえの問題。
どちらも、この街がジュノである限り、続いていくのでしょう。
世界を股にかける、冒険者たちがいる限り。


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コメント(4)

す、すごいですね。きちんと読むのに20分もかかりました(笑
「FF11を未プレイ」、「FF11を知らないけど興味がある」、「FF11を知らないけどFF11の音楽が好き」、という、まさに私向けの解説ですねー。

音楽に関しては、サントラにあるものは、だいたい聴いてわかってるんですが、その曲がどういう場面・場所で流れるかってのは、ほとんど分からないですからね。Battleってついてるのが戦闘曲だってのが辛うじて分かるくらいです。しかもタイトルはすべて英字だし。ですので、籠入りさんのこういう解説はとても興味深いです。

聖地ジ・タは、曲を聴いたイメージでは、枯れ果てた土地とか街のイメージだったんですが、実は神秘的な場所のBGMだったんですね。カザムはイメージどおりかな。

THE STAR ONIONSの Awakeningは、どのようにアレンジされるのか楽しみですね。もしも聴いたら感想を聞かせてください。私は買わない(買えない)ので…。

こちらは、テキストに1日、写真撮影に1日かかりました。あはははは。
ayameさんがこうして読んでくださるからこそ、
他にも読んでくださる方がいるはず、と思いこんで
長文を書くことができるのです。ありがとうございます。
あと、アルバムの全曲を並べて書こうと思ったのは、
ゲーム音楽のアルバム全曲解説などをされている
コーダ・トキさんがここを訪れてくださった影響も大きいです。

ゲームをやったことのない方の
「こういう場面の曲だと思ってた」は、じつは面白いかもしれないですね。
特に、アレンジアルバムの場合は、
もしかすればゲームに対する先入観がないほうが純粋に楽しめるのかもしれない。
という気も、ちょっとしています。

ネットを巡ると、すでにアルバムを入手された方もいらっしゃるようですが、
見ないように気をつけながらいろいろとやってます(笑)
「Awakening」のアレンジは、甲田雅人さんが担当されたようで、
この方のこともよく知らないので、二重に楽しみだなあと思っています。

ちなみに、どうでもよいことですが、
ゲームの中の「Ayameさん」が勤めている場所が「Metalworks」です(笑)

とても丁寧な解説 読み入ってしまいました。 

よく訪れる各地が、改めて新鮮な気分で甦りましたよ


オニオンは今、通勤の車内で聞いております。
ジュノ曲が12月に似合いそうですね(笑)。

Gontyさん、お読みいただいてありがとうございます!

プレイヤーの視点、から、いろいろと思い出しながら書いてみました。
いずれ、旅行者の視点、というものを想像して、
いろんな場所を旅するように(再)紹介してみたいなー、と、考えています。

単体で聴くために作られたアレンジ曲なら、
本来の曲よりも、いろんな場面で聴けそうな気がしますね。
それでもやっぱりFF11らしく、BGMに向いている感じでしょうか。
早いところ入手して聴いてみたいと思います。