2006年1月15日 07:58

電撃の旅団「公式ワールドガイドVol.3 コミュニケーション編」

 |  トラックバック(0)  |  カテゴリ : FF11の本・雑誌記事  

FF11に関する書籍の発行元といえば、まず挙げられるのは、
「ファミ通」のエンターブレインと、「電撃」のメディアワークスです。
他には、ソフトバンクも攻略本を出していますが筆者は持っていなかったり、
スクウェア・エニックスは最近ほとんどFF11の本を出していなかったり、
メディアファクトリーの本はちょっと変化球のものが多いので...
あと、漫画や小説などの創作出版物については、筆者はよく知りません。

で、FF11に対する「ファミ通」と「電撃」の比較なのですが、
ゲーム雑誌はあまり買わないので、書籍についてのみ、勝手に表現させて頂くと、
「目を惹きやすく、ひとつの作品としてきれいに創りこまれている」のが「ファミ通」の本、
「プレイヤーと同じ視点で、FF11の生の雰囲気をよく伝えている」のが「電撃」の本、
という感じです。(全体の大雑把な印象なので、例外はありますが)
それゆえに、「FF11をやるつもりはないけど知りたい」という方は
ファミ通系の「ヴァナ・ディール通信」のほうが楽しめるかもしれません。
いっぽうで、攻略本・データ本に関しては、
決定版といえるほどのものを出していない「ファミ通」に対して、
先行してどんどん出している「電撃」の信頼度が高いでしょうか。
(筆者は、「電撃」の攻略本を基本に、ファミ通PS2の別冊付録攻略本を併せています)

で、2005年12月28日に発売されたこの本ですが、ひとことで言えば、
「FF11ファンによるネット上の作品のようなものを、高いクオリティで作ってまとめた本」。
「電撃」らしい、「FF11の生の雰囲気をよく伝える」本になっています。
当サイト的にいちばんの注目点である、音楽に関する記事は特にありませんけれど。

電撃の旅団とは、雑誌"電撃PS"の『FFXI』担当編集&ライターで作られた集団の名称です。
彼らは仕事に遊びに、日夜ヴァナ・ディールを駆け回っているのです。
http://www.dengekionline.com/ff11/

という方々が作った、正式名称は
ファイナルファンタジーXI 電撃の旅団 編 ヴァナ・ディール公式ワールドガイドVol.3 コミュニケーション編
という長い名前の本です。
「電撃の旅団 編」というのは、「電撃の旅団が編集した」という意味だと思うのですが、タイトルの一部です。
このシリーズはこれまで、「Vol.1」「Vol.2」、
さらに電撃PlayStation紙上の特集で「Vol.2.5」、同じく別冊付録で「Vol.2.6」を出した後、
2005年9月に「Vol.3 世界編」を出し、この「コミュニケーション編」を経て、次に「冒険編」を発売予定とのこと。
エリアごとのマップとデータをまとめた「世界編」については、筆者はかなり使い倒しているのですが、
音楽に関してはところどころで触れられているのみで、特にまとまった記事がなかったのと、
なんとなく書くタイミングを逸してしまったために、当サイトでは記事にしていません。
すごくいい本だけれど、改めてコメントすることも特にない...よくできた攻略本という感じです。

それとはがらっと内容の変わった「コミュニケーション編」ですが、
まず特徴といえるのが、6時間半におよぶ大量の動画を収録した2枚組DVDです。
これらは、ほぼゲームのプレイ画面を録画したもので、
「ヴァナ・ディール通信」のDVDのように語りや創作はなく、
普通にゲームをプレイしている、生の映像です(もちろん編集はされていますが)。
それだけに、内容勝負ということか、非常にバラエティ豊かでボリュームのある映像集です。

DVDの内容を大雑把に分けると、
・ゲーム中に登場する、魔法やウェポンスキルと呼ばれる特殊技を、ほぼ全収録した映像。
 (ただし、魔法は、敵に向かって撃つもののみ)
・強敵との戦闘や、難易度の高いステージを攻略したり、全滅したりしている映像。
・FF11のいろんなシステムを使って、お遊びでいろいろやっちゃってる映像。
というところ。

映像についてひとつ、良い点は、
魔法などの映像の収録に、一見画面がきれいそうなWindows版ではなく、PS2版を用いていることですね。
本やウェブサイトなどの媒体にかかわらず、FF11の静止画を見慣れていると、
どうしてもPS2版よりWindows版の画面のほうがきれいだと思ってしまうのですが、
じつは、水や炎のゆらめき、空間の歪みなどの表現は、PS2版のほうが格段にきれいだったりします。
(あと、効果音関係もPS2版のほうが深みがあると思うのですが、そのうち比較してみようと思います)
これを見て、「あの魔法覚えたいなー!」とか、思っていたりします。

実をいうと、こうしたプレイ動画は、インターネット上で探せば、たくさん存在しています。
(本当は、無断でネット上に公開するのは規約違反になりそうですが)
かく言う筆者も、FF11の映像を編集して動画を作るのは好きであり、ふだんは内輪のみの公開ですが、
じつは「写真の一画」の「好きな敵の技ランキング 第3位 フライパン」のところにひとつ置いていますけれど。
それはともかく、じゃあこのDVDはお金を出してまで見るものではないのかというと...
これだけよく編集され、内容もかなり網羅している動画はネット上にもほとんどないということと、
「電撃の旅団」の面々の持つキャラクター、ある種のタレント性に対して、
人によってはお金を出す価値を見出せるのではないでしょうか。(筆者はもちろん出すほうなのですが)

同じことは、本誌のほうにもいえると思います。
内容は、攻略の基礎からFF11プレイヤーへのインタビューやアンケート(ちなみに筆者も回答しました)、お遊び記事まで、
まとめるならば「バラエティ」としか言いようのないもので、
似たようなアイディア・記事はネット上の誰かが書いているかもしれませんが、
これだけの質・量の記事がまとまっているウェブサイトはたぶんないでしょう。

つまり、ネット上のファンワークのように、ふつうのプレイヤーと同じ視点で作られているために、
文章から動画から、FF11を遊んでいる、という空気に満ちており(FF11をしない方は戸惑うかもしれませんが)、
それでいて、ネット上の、玉石混交の記事や動画と違って、粒揃いである、という本。

で、まあ、実際にこの本を買うのは、「電撃」の本が好きな方なのかもしれませんが、
「FF11の生の雰囲気をよく伝える」ことでは他に類を見ない一冊だと思います。
FF11をやったことがない方で、ここまで読んできて興味を持てなかった方はあまり楽しめないかもしれませんが、
FF11を一度プレイして今はやめた方、などは、「なっつかしいなー」なんて、思えるかもしれません。
ただ、あんまり「コミュニケーション」という言葉でまとめられる内容の本ではないと思いますけれど。

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