羽田健太郎さんのご冥福を祈りつつ。
このへんのニュースも気にしつつ。
著作権法の親告罪見直し 海賊版の出品・ダウンロード違法化も検討 07年知財計画
本題は、先日発売された『5th Anniversary Vana'diel Memoirs』。
『ヴァナ・ディール通信』のスタッフによる、FF11の5周年記念本です。
開発発表からのFF11の足跡を振り返り、新たにまとめた記事が半分、
これまでのヴァナ・ディール通信などの記事・映像をまとめたものが半分。
当サイト的注目記事は、なかなか珍しい効果音担当者へのインタビュー、
そして全130曲の写真つき楽曲解説です。
目玉は14ページにおよぶ(しかも字がかなり小さい)開発者ロング・インタビュー。
作曲担当の水田直志さんは参加されていませんが、
環境音や効果音を制作されている佐藤正幸さんのインタビューが興味深いです。
以前にも書いたのですが、CDやMIDIデータで聴くゲーム音楽ではなく、
環境音や効果音が乗った状態がゲーム音楽の"完成形"であるはずで、
FF11では「Tough Battle」系の重たい曲は特に効果音が重なることでずっと格好よくなりますし、
「A New Horizon - Tavnazian Archipelago」は鳥の声などの環境音まで含めて、あの土地の悲しい歴史を表現していると思います。
あまり語られない、その点にスポットを当てた記事として貴重です。
あるネタ(素材)の数は決まっていて、それをどのように組み合わせて、いかに新しい音を作るのか苦労します。すごくクリエイティブな仕事をしているように感じますが、じつは結構パズルのような作業です。
黒魔法だったら素材的には「ガリガリゴリゴリ」といった、岩を砕くような音などがあるのですが、そちら系の音をすごくピッチを下げて使っています。白魔法は、シンセサイザーの音が徐々に上がっていくような感じで、途中でキラキラ音が入ってきます。
といった感じで、全2ページ。
音楽関係の記事としては、さらに、18ページにわたってFF11の音楽の全曲紹介が。
未収録楽曲集まで含めた全130曲が使用場面ごとに分類されて、
関係する場面の写真に、使用場面と簡単な楽曲解説が添えられています。
たとえば、
曲名:Tarutaru Male / 作曲者:水田直志 →[当サイトのMIDIデータで聴く]
場所:キャラクターメイキング(タルタル♂)
コメント:"クラーベ"というキューバ音楽をルーツとするリズムが基本となる曲。スネアに耳を傾けると、タッタッタッ、ウンタッタッという3-2(スリーツー)のリズムが感じられるはずだ。
曲名:One Last Time / 作曲者:植松伸夫 →[当サイトのMIDIデータで聴く]
場所:ク・ビアの闘技場(三国M:ランク5ミッション)など
コメント:"石の記憶"後半部分をアレンジ。エレキ・ギターによる泣きのフレーズと2'06''以降のドラマティックな展開はアレンジ版の中でも秀逸。キーはニ短調に移調されている。
曲名:Norg / 作曲者:水田直志 →[当サイトのMIDIデータで聴く]
場所:ノーグ
コメント:冒頭のフレーズが怪しげに聞こえるのは、ディミニッシュ・コードと呼ばれる不安定な響きを使用しているため。エンディング寸前の2拍のブレイクは水田氏のお茶目な一面か。
といった感じ。
当サイトでもいちおう楽曲コメントを書いてはいますが、苦手な音楽理論の部分を、簡単でも書いてくれているのがありがたいです。
記事の担当者名は書かれていませんが、ミュージシャンの顔も持つ市野ルギアさんでしょうか。
(7/8追記:ルギアさんではなく、ファミ通PlayStation+編集部にいらっしゃるスタッフの方だそうです)
その他、100人を越すスタッフの方々(それでもごく一部)の集合写真、
70ページにわたって(しかもほとんど文字)5年間+αの出来事の紹介も(って、これがメインですね)。
過去記事の再収録パートとしては、イラスト集やグッズ集、漫画と読み物。
でも漫画「恋の空蝉1・2・3」は完結してからまとめたほうが良かったような気がします。5周年ともあまり関係がないですし。
DVDには、主にサービス開始前~直後を中心としたプレイ映像集をGameWaveDVD(現ファミ通WaveDVD)などから再収録。
ですので、資料的な映像ではなく、テレビ番組風におもしろおかしく編集された映像です。
このようなところです。
通常の「ヴァナ・ディール通信」のようなバラエティはないですが、
この機会じゃないと読めなかったような記事・見ることが困難な映像もあり、
興味のある方にはストライクな本でしょうね。