2009年2月24日 18:21

『gentle echo meeting』伊藤賢治さんと桜井政博さんのトーク概要

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2月21日に行われた伊藤賢治さんのイベント『gentle echo meeting』
前半は1時間にもわたる伊藤賢治さんとゲストの桜井政博さんのトークでした。
これがまた、『スマブラX』の原曲とアレンジ版の聴きくらべなど面白い内容で。
桜井さんはゲームデザイナーとして様々なゲームを企画しておられますが、
ゲーム音楽に対する造詣も深い方だったりします。

伊藤さんが立ち上げたレーベルのイベントではあるのですが、
ホストの伊藤さんがゲストの桜井さんに話を聞く場面が多かったと思います。
なので、ここは桜井さんファンの方がいちばん楽しかったかもですね(笑)

で、じつはトークを聞きながらガツガツとメモをとっていましたので、
メモの断片からお話の内容をざっくりと再構成して書いてみようと思います。
箇条書き、かつスタイルも整っていませんが、覚え書きということでご容赦を。


2月21日 伊藤賢治さん×桜井政博さんトーク概要
※発言内容は正確なものではありません

・桜井さんが企画者として携わったコンサート『PRESS START 2006』に、
 伊藤さんがゲストとして演奏されたのがお二人の関わりのはじまり
・その本番直前に『大乱闘スマッシュブラザーズX』への参加を打診された
・『PRESS START 2009』は8月頃に開催予定、曲目はまだ内緒
『スマブラX』への出演要望が多かった他社キャラはロックマンとかクラウドとか

・桜井さんと伊藤さんはほぼ同時期にゲーム業界に入った
・桜井さんは最初からハル研究所を目指していて、入社した
・伊藤さんはファミ通の『FF3』の紹介記事を見てスクウェアに決めた
 スクウェア以外にも様々なゲーム会社にエントリーし、ハル研の試験も受けた
・先にスクウェアに内定したため、ハル研に断りの電話を入れたら、
 「スクウェアですか! あそこは素晴らしい会社ですよ、おめでとうございます!」
・桜井さん「正直言って、わたしもそう思います(笑)
 ハル研はそのあとしばらくして和議申請出しちゃいますからね。
 会社のものは差し押さえられるし、ボーナスも出ないし、きつかったです...」

(註:このあたりの話は、プロジェクトソラの対談もあわせて読むとよいかもです)

・桜井さんは、80年代後半に難しいアクションゲームが増えすぎたため、
 初心者にもゲームの楽しさに触れてほしくて『星のカービィ』を作った
・(なぜアクションゲーム? という伊藤さんの質問に)
 ゲームの原体験を味わってほしい、たとえばRPGなどは一段敷居が高いから
 (桜井さんの親戚の方はドラクエの装備の概念を理解するのに3日かかった)
・たとえばマリオの"ジャンプしてカメを踏む"というアクションに対して、
 "敵を倒せる正しいタイミング"をより広く取ったものがカービィの"吸い込み"

・その桜井さんが今遊んでるのは『デモンズソウル』(註:難易度の高さで話題に)
 桜井さん「面白いですよー。ファミ通のコラムにも書きますけど」
・でも、桜井さん自身はそういうゲームはたぶん作らない
 "自分が遊んで面白いゲーム"を作るひとはたくさんいるから
 桜井さん「ゲームは大人が作っているものですよね」

・ここで、『スマブラX』で伊藤さんが担当した曲を全曲紹介
 (アレンジ元の任天堂ゲーム曲と、伊藤さんがアレンジした曲を聴きくらべ)

・スターフォックス(SFC)
 伊藤さん「あれが出たときは衝撃的でしたね」
 桜井さんから、アレンジ版では2ループ目にストリングスが増えて...といった指摘
 それを受けて伊藤さんからも、アレンジの構成の発想方法など、専門的な話

・パルテナの鏡(ディスクシステム)
 伊藤さんがツインファミコンを買った時に抱き合わせ販売されていて入手
 スポーツゲーム以外では初めてやったテレビゲーム
 しかし難しくて1面もクリアできず
 桜井さん「このゲームを抱き合わせるというのは業が深いですね...」

・ファイアーエムブレム 烈火の剣(GBA)
 最初、ディストーションギターがもっと主張している曲だったが、
 桜井さんがゲームの背景や効果音と合わないと判断して抑え目になった

・『スマブラX』の音楽制作は、まず開発オフィスに行って、
 そこの黒板に並んだ200曲以上の中から、アレンジしたい曲を選ぶ
・スターフォックスとパルテナの鏡は伊藤さん本人の選曲
・伊藤さん「バトル曲は避けようと」
・桜井さん「イトケン節といえばバトル曲だと思うんですが」
 でも、今回のリハーサルを見て、伊藤さん自身の音楽の好みを知って納得した
 桜井さん「それでも言ってしまいますが、ロマサガは戦闘の音楽がいいです」
・特にフリーになると、好むと好まざるとにかかわらず
 "いままでやった仕事"がその人に振られる仕事になる

・『スマブラX』は全世界で800万本販売
・桜井さん「イトケンさんの曲も800万人以上が聴いているわけで」
・『スマブラX』を作れたことはとにかく光栄、制作冥利に尽きる
・任天堂から注文がつけられたことはほとんどなかった

・2月18日に発表されたばかりの新会社プロジェクトソラ
 (註:桜井さんの会社ソラと、任天堂が共同出資で設立した開発会社)
・『スマブラX』のために専用オフィスを構えて開発スタッフを集めたのと近い形
 ただ、今回は会社組織として運営していく
・企画は決まっていて、開発スタッフを募集中、ただし音楽家は募集していない
 桜井さん「いま音楽家の知り合いが何人いますかって話で」
 『スマブラX』ほどの規模ではないが、フリーの音楽家に集まってもらう
 音楽については、ちょっと変わったことをやりたい
 桜井さん「まだこれ以上は言えないんですが」
・作りたいのは"ゲームらしいゲーム"、"全世界・全年齢が対象"

・桜井さん「RPGってなんであんなに曲数が多いんですか?」
・伊藤さん「昔のスクウェアに限ると、ある意味、植松さんの仕業ですね(笑)」
 植松伸夫さんは、求められる限り、ぎりぎりまでねばって作り続ける
 植松さんが頑張るから、他のスタッフにもそのレベルが要求されてしまう

・今でもNECのPC-98で曲を作っている葉山宏治さんの話
・『世界樹の迷宮』サントラにPC-88の音源版を収録した古代祐三さんの話

・伊藤さんがgentle echoレーベルで目指すもの
 昔からよく聴いていたポール・モーリアやリチャード・クレイダーマンの音楽
 影響を受けたカナダのウインダムヒルというレーベル
・ゲーム音楽以外も、リクエストがあればいろんなジャンルの音楽を作っていく
・音楽以外のこともやろうと考えている
 桜井さん「音楽以外...きりたんぽを焼くとかですか」
 伊藤さん「いえ、あの、世界へ向けてやっていこうかなと(笑)」

・お互い、またご一緒できるところがあれば、と二人で締めくくり

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