最近発売されたものをまとめて。
◆ 今年2月に行われたFFのコンサート「VOICES」のDVDが6/21に発売。
植松伸夫さんは「オーケストラコンサートというより歌謡ショー」と表現していましたが、
オーケストラにこだわらず、様々な形で、「声」を軸とした音楽を聴くことができます。
とはいえ、オーケストラを最大限に活かした、FF11からの楽曲も、迫力満点です。
◆ 付録にゲーム音楽CDをつけた雑誌「ガンガンパワード NO.1」が6/22に発売。
ゲストの植松伸夫さんへのインタビューで、これまでの足跡を振り返りつつ、
FFシリーズなどから、いくつかの曲を紹介。ちなみに、次回のゲストは伊藤賢治さん。
◆ その伊藤賢治さんのソロアルバム「Everlasting Melodies」が6/21に発売。
「Kokoro No Takarabako(心のたからばこ)」の1曲を除き、全編ピアノソロ。
いわゆる「バトル・イトケン節」のような激しい曲はありませんが、
優しい、爽やか、切ない、寂しい、いろんな感情を呼び起こします。
◆ DVD「VOICES music from FINAL FANTASY」
2年前のFFオーケストラコンサート「TOUR de JAPON」は、全国各地でコンサートを行うことで、
できるだけたくさんのFF音楽ファンに、生のオーケストラを聴かせる、ことを考えていたでしょう。
今年の2月に行われたコンサート「VOICES」は、それとはまったくコンセプトを異にしており、
1回限りの公演に、できるだけの人と力を集中させるものになっていて、それだけに、
あっという間に売り切れたチケットを手に入れられなかったファン、
横浜で1回限りの公演に都合をつけられなかったファンのために、
はじめからDVD化することを意識したコンサートだったのでしょう。
これが初のFFコンサートDVD発売(「TOUR de JAPON」のDVDはファンクラブ特典のみ)で、
なおかつ、初めて、FFコンサートを5.1chサラウンドで聴ける、気合の入った作品となっています。
サラウンドといえば、先日サラウンドなヘッドホンを購入した話を書きましたが、図ったようなタイミングですね。
曲目等は、公式サイトの「SET LIST」をご覧いただくとしまして、
一気に観たあとの全体的な感想をいうと、
コンサート会場へ行ってきたかのような、ドキドキと心地よい疲れが残りましたね。
それには、2時間以上のコンサート本編をぶっ通しで、それも5.1chサラウンドのタイトな環境で観たことに加え、
30分以上に渡って収録されている、会場のロビーも含めた舞台裏の様子まで観たことも大きいと思います。
(限定版のみに付属している、特典ディスクに収録されています)
同じく特典ディスクのインタビューでは、指揮者のアーニー・ロスさんが、
FF11からの楽曲「Distant Worlds」を歌った増田いずみさんの変幻自在な歌声をビョークさんに例えていました。
筆者は以前の記事で、おおたか静流さんと比べたことがありますが、ビョークさんというのも納得。
同じ「Distant Worlds」でも、FF11サマーカーニバル2005のときの語りかけるような歌い方とはかなり違っていて、
オーケストラを背負ったぶん、大きくダイナミクスをつけて、オペラ的な歌い方も少し入っていたように思います。
いちばん感動したのは、間奏に入ってすぐ、原曲では増田さんがお一人でスキャットを入れている部分が、
ここでは大勢のコーラスに支えられ、壮大な歌声が広がって...原曲を知っているからこそ、ハッとする瞬間。
「A VOICE」が「VOICES」になった瞬間、というと、まとめすぎですか。
それ以外の楽曲も、もちろん堪能しました。
RIKKIさんのゆらぎに酔い、白鳥英美子さんの歌声に包まれて安らぎ、アンジェラ・アキさんのパワーに圧倒され、
それからモーグリーズのドゥワップな戦闘シーンに笑い、THE BLACK MAGESの登場シーンに驚き、演奏に高揚し。
いちばん楽しかったのは「スウィング de チョコボ」かな! オーケストラじゃなくてビッグバンドですけど。
全然関係ないですが、DVDのスタッフロールに、筆者と同姓同名の方が出てきてドキッとしました。
何もやってません!
◆ 雑誌「ガンガンパワード NO.1」
ガンガンパワード公式サイト / スクエニMUSICパワード公式サイト(音が流れますので注意)
漫画雑誌です。もともと「少年ガンガン」の増刊号として創刊され、この号から隔月刊化、定価540円。
目当ては、付録のCD、「スクウェア・エニックスMUSICパワード VOL.1」です。
内容と収録曲は、上の「スクエニMUSICパワード公式サイト」の通り。
「クリエイターズVOICES」は、パーソナリティのウダツ田中さんと福田史絵さんが
今回のゲスト、植松伸夫さんと、20分間ほど、語らったり、インタビューをしたり。
始まりのグダグダ感は、植松ラヂヲみたいになるのか? (嫌いではないですけど) と心配しましたが、
ちゃんとしたインタビューになっていて、いいお話も聞けました。
植松さんは「VOICES」司会の当日に二日酔い気味で現れたり、気さくでもちょっとだらしないイメージがありましたが、
作曲に関してはとてもきっちりしていて、ストイックですね、とか。あとスクウェアへの入社面接はそのへんの道端だったとか。
インタビューの合間と最後に、
『More Friends』のCDから「Maybe I'm a Lion (『FF8』より)」(演奏:THE BLACK MAGES)、
『VOICES』のDVDから「Liberi Fatali (『FF8』より)」と「FINAL FANTASY」が流されました。
「ゲームMUSICクラシック」は、昔のスクウェアゲームの音楽を発掘するコーナー。
今回は植松伸夫さんの『キングスナイト』から、フィールド曲。初めて聴きました。
ちなみに曲紹介のときのBGMが『FF11』の「The Grand Duchy of Jeuno」でした。
「そんなオマエにポーション」は、スクエニ音楽ファンにはおなじみ、ウダツ田中さんのトーク中心。
ウダツさんのMCが好きな方ならば、是非...というか、このコーナーに限らず、全部。
ちなみにBGMは『コード・エイジ コマンダーズ』から谷岡久美さんの「エルナトパワープラント ☆」。
その次がリクエストコーナーで、収録された曲は、上のサイトの通り、
『クロノ・トリガー』から「時の回廊」、『聖剣伝説 Legend of Mana』から「滅びし煌めきの都市」。
漫画雑誌の付録ということで、
連載中の漫画家さんへの質問コーナーに続いて、その漫画家さんからのリクエストで、
FF6から「セリスのテーマ」と、FF4から「ゴルベーザ四天王とのバトル」。
最後に、近日発売のドラマCD「ひぐらしのなく頃に」のダイジェスト版が流れた後、エンディング。
エンディングの前半BGMは「植松ラヂヲ」を思い出す『FF10』版「プレリュード」でしたが、
後半BGMはなんと『THE STAR ONIONS』から、甲田雅人さんアレンジによる「The Sanctuary of Zi'Tah」。
これ、絶妙な選曲と思います。
その他『サガ・フロンティア』『クロノ・トリガー』からの曲も会話中のBGMで流れてましたっけ。
次号は8/22(火)発売で、「クリエイターズVOICES」のゲストは伊藤賢治さん。
ゲストへの質問に加え、CDに収録するゲーム音楽のリクエストも引き続き受付中とのこと。
雑誌のほうはこれから読みます...ぶ、ぶ厚い...。
◆ CD「伊藤賢治ピアノ作品集 ~Everlasting Melodies~」
最後は、FF11とは全然関係ありませんけれど、
上述の伊藤賢治さんによる、ゲームとは関係のないソロ作品集のCDが発売されました。(→詳細)
といっても、2曲は『ロマンシング サ・ガ2』『チョコボレーシング』からの曲ですが、
この構成はなんとなく、植松伸夫さんのソロアルバム「PHANTASMAGORIA」を思い出しました。
久しぶりに引っぱり出してみると...植松さん、若い! 12年前か...。
それはともかく、このアルバム。
最後に収録されている「Kokoro No Takarabako」(心のたからばこ/『チョコボレーシング』より)のみ、
ピアノに加えて歌やギターが入っていますが、構成を見る限り、これはボーナストラックという感じがします。
他の7曲は、伊藤賢治さんの奏でるピアノ一台のみ、という、
豪華なゲーム音楽に慣れたファンに向けては、逆になかなか冒険的な作品。
また、伊藤賢治さんといえばまず激しい「バトル・イトケン節」をイメージする方が多いと思いますが、
このアルバムにそういったものを期待してはいけません。
聴くことができるのは、すべておだやかな曲。
といっても、優しさ、爽やかさ、切なさ、寂しさなど、いろんな感情を呼び起こす楽曲たちです。
もともと筆者は、伊藤賢治さんの楽曲に、いまいちピンときていなかったのですが、
それは、評判の高い、バトル曲以外に耳を向けていなかったからであって、
イトケンさんの弾くピアノが、必ずといっていいほど優しい音色であるように、
バラードにおいてこそ、イトケンさんの味が濃く出るのですね、と気づいて、好きになりました。
このアルバムによって、その気持ちがより強くなった次第です。
あと、イトケンさんに対するそのような印象は、当サイト内でもMIDIデータを公開していますが、
イトケンさんアレンジによる「ファイナルファンタジー」を聴き、耳コピした影響もあると思います。
ピアノの音というのは普遍的ですから、少なくとも筆者が生きている間ぐらいは、「古臭い音」になることはないでしょう。
「PHANTASMAGORIA」を引っぱり出したみたいに、このCDを12年後に聴いたときにどう思うのか、楽しみです。
あと、イトケンさんはもっと「歌モノ」を書いてほしいなあ、とか。
このCDにも入っている「心のたからばこ」も、名曲ですし。