2009年9月 3日 22:14

『PRESS START 2009』レポート的なもの(2)

『PRESS START 2009』レポート的なもの(1)の続きです。
もうコンサートからは1ヶ月以上経っちゃいましたねー。

今回は、第1部の曲目にそって。


第一部


メドレー(全ての人の魂の詩 ~ Reach Out To The Truth ~ 記憶の片隅)
 / 『ペルソナ4』より
作曲:目黒将司さん 編曲:外山和彦さん ソプラノ:高橋織子さん ピアノ:江草啓太さん

それぞれ、『PRESS START』サイトの曲目紹介ページで試聴できます。

コンサート最初の曲は、『全ての人の魂の詩』(ベルベットルーム)。
目黒将司さんが入社して最初に作った曲だという、
初代『ペルソナ』から受け継がれている曲です。

ホルンだったか、やわらかなロングトーンで始まり、
すぐにピアノなどの楽器が入ってきて、例のイントロが始まりました。
ピアノの江草啓太さんは、この後もたくさんの曲で演奏されていましたが、
植松伸夫さんのレーベルDog Ear Recordsから、
アルバム『KALAYCILAR』を出されている方ですね。
さらに、ソプラノの高橋織子さんも加わり、曲も盛り上がっていきます。
曲も演奏もすごくきれいで、個人的には今回特に良かった曲の1つでした。

続いては『Reach Out To The Truth』(通常戦闘)。
通常は、いきなりサビから始まる、目黒さんいわく、
"RPG史上初(当社比)のメジャー進行で始まるバトル曲"ですが、
今回は、初戦闘のときに流れる、イントロつきのバージョンでした。
あと、歌はなく、金管楽器メインのアレンジでした。

原曲は、通常戦闘曲に歌詞つきの歌というのも珍しいですが、
ラップ部分とサビ部分で構成される、すごくポップス的な曲ですね。
そういう曲が、金管とドラムを中心にアレンジされていると、
時節柄、高校野球の応援みたいだなーと思いました(笑)
(↑...という文章を書いたころはまだ高校野球やってたんですが、
世間はもうすっかり2学期です...)

最後は『記憶の片隅』(タイトル画面)。
こちらも、江草さんのピアノを中心とする、さわやかできれいな演奏でした。

で、そのまま続けて次の『スーパーマリオブラザーズ』だったのですが、
説明の流れで、先に『ペルソナ4』トークのことを。

『マリオ』の演奏後、企画者の5人が舞台上に揃ってそれぞれご挨拶をしつつ、
続いて、作曲者の目黒将司さんが、ビジネスマンのようなスーツ姿で登場。
入社して研修期間中に『全ての人の魂の詩』を作ったときの苦労だとか、
目黒さんは、『ペルソナ』シリーズのディレクターでもあるので、
作曲と開発のトップを兼業するのってどんな感じ? とか。
あと、ゲームのサウンドトラックはゲームの10分の1も売れれば良い方ですが、
『ペルソナ4』はゲーム40万本に対してサントラ7万本という、
植松さんが「ありえない数字」とまで言う売れ行きだったとか。
「皆さんをだましてしまいました」と目黒さん(笑)


メドレー / 『スーパーマリオブラザーズ』より
作曲:近藤浩治さん 編曲:栗田信生さん

この曲は、あとでもう1回聴くことになるのですが、
「今日ここに来ていて、これを知らない人はいないでしょう?」という曲。
2007年に一度メドレーで演奏されているのですが、
今回の演奏はそれよりも長くなっていたと思います。
地上面→水中面→地下面→地上面→ゲームオーバー
という順番でした。
『スマッシュブラザーズ』などでも数多くアレンジされてきていますので、
違和感もなく、驚きもなく、という感じで。

演奏後は作曲者の近藤浩治さんが登場。
『マリオ』『ゼルダ』といえばこの方(最近の作品は共同作曲ですが)で、
『PRESS START』でも第1回からすべて近藤さんの曲が演奏されているとか。
さらに、今回はコンサートの企画会議にも加わっていた、
"6人目の企画者"だったそうです(笑)


メドレー
『かまいたちの夜』より レクイエム ~ 悪夢
 / 『弟切草』より 館までの道で ~ 奈美の思い出)
作曲:加藤恒太さん・松尾千代子さん 編曲:外山和彦さん チェレスタ:江草啓太さん

パンフレットの作曲者表記は"CHUN SOFT"でしたが、
『かまいたちの夜』の作曲は中嶋康二郎さんと加藤恒太(たくまる)さん
ただ、今回演奏された2曲はともに加藤さん作曲のようです。
『弟切草』の作曲は松尾千代子さん。

ここまで派手で明るい曲が多かったので、
落ち着いた静かな『レクイエム』のイントロで「きれいな曲だなあ」と思いました。
特にストリングスが薄く鳴っている感じが。
ただ、自分にとってはまったく触れたことがないゲームで、
音楽的にも、特段にインパクトがあるというわけでもないので、
正直言うとそれほど印象には残っていません。


幻想の世界へ / 『幻想水滸伝』より
作曲:東野美紀さん 編曲:山下康介さん ピアノ:江草啓太さん

自分は、このぐらいの時期がいちばんゲームをやってた気がするので、
曲を聴いたときに、いちばん懐かしさを感じます。
このゲームは、プレイステーションの中でも初期のRPGということで、
(『クロノ・トリガー』などと同じ1995年に発売)
グラフィックについては、まだ、
スーパーファミコンと比べてもそんなに変わらないという印象でしたが、
サウンドについては、当時から「良い」(というか「違う」)と思いました。

かっこいい曲を、かっこよく演奏していたのですが、
もともと短い曲を、コンサート用にふくらましたため、
ちょっと、同じメロディを繰り返しすぎて、しつこく感じてしまいました。
別の曲を混ぜるか、思い切って原曲通りに短く切り上げても良かったかなーと。


"ファミコンここまで出てるのに"メドレー
編曲:酒井省吾さん ピアノ:江草啓太さん

名前の通り、「ここまで出てるのに...!」と、むずむずしてしまう曲を集めたメドレー。
といっても、曲目を見ての通り、かなり有名どころなゲームが多かったですね。
まあ、観客が楽しめるかどうかを考えると、このぐらいのバランスが最適だと思います。

▼昼の部▼
スーパーマリオブラザーズ、スペランカー、クルクルランド、迷宮組曲、新 鬼ヶ島-前編-、メタルギア、アトランチスの謎 、がんばれゴエモン からくり道中、光神話パルテナの鏡、魔界村、ゼルダの伝説、ディスクシステムのテーマ

▼夜の部▼
スーパーマリオブラザーズ、悪魔城ドラキュラ、ドクターマリオ、マッピー、ファイアーエムブレム、チャレンジャー、イーアルカンフー、バルーンファイト、謎の村雨城、ゼルダの伝説、ディスクシステムのテーマ

ファミ通.comの公式コンサートレポートより)

それぞれのゲームの曲が、30秒ぐらいの短いアレンジになっていて、
曲と曲の間はスネアドラムのソロでつないでいました。

演奏中、スクリーンには、
ゲームのタイトルロゴにモザイクがかかった状態で出ていまして、
演奏しながら、だんだんモザイクがなくなっていき、
その曲が終わるのと同時に、完全にロゴが見えて、何のゲームかわかる、
という方法で答え合わせをしていました。
クイズ番組感覚で面白かったです(笑)
じつは、昼と夜では曲目以外にも違いがありまして、
夜の部では、
「何のゲームか分かったら、曲に合わせて手拍子する」という要素が(笑)
昼の部では物足りなかったのか、企画者が即興で考えたのだと思います。

どちらも、1曲目はマリオで始まり、「さっきやったじゃん」的な笑い声が。
でも、このマリオ、アレンジの都合で手拍子はやりにくかったですけども。
それから、最後がゼルダからディスクシステム、
そしてディスク認識のときの「ピロリ♪」の音に合わせて「おわり」の文字が出る、
という流れは昼夜同じでした。


Still Alive / 『Portal』より
作曲:Jonathan Coultonさん 編曲:かみむら周平さん
 ボーカル:大塚茉莉子さん ギター:窪田晴男さん ピアノ:江草啓太さん

『Portal』は、今回の演奏曲の中では唯一、海外のゲームでした。
ゲーム自体を知らないひとも多いだろう、という配慮なのか、
演奏の前に、桜井政博さんが実際にゲームを遊びながら紹介していました。
この紹介が上手くて、ときどきミスをしたのもわざとではないかと思うほどですが、
(昼公演と夜公演で、同じところでミスっていましたし)
このゲームを知らなかった観客もかなり引き込まれている様子でした。
今までにない仕掛けを軸としたゲームですので、
"実際に遊んでいるところを見せる"という紹介方法が合っていますね。

ちなみに、ゲーム内容は、このムービーを見てもわかると思います。

で、ゲームの面白さはわかったのですが、
ゲームのストーリーやバックグラウンドの説明は少しだけでしたので、
その後で聴いた曲の面白さを引き出すのには、あまり役立たなかった気がします。
歌詞(訳詞も)の中に出てくる企業名"Aperture Science"も、
一度だけさらっと言っただけでしたし、
もうひとつ、歌詞中に出てくる"Black Mesa"については説明なし。
(まあ、こちらはゲーム中でもほとんど触れられていないのですが)

で、やっと歌の話ですが、
原曲は、主人公の敵役のマザーコンピュータが歌っているという設定なので、
加工された無機質な歌声で作られています。
それを、生身の歌手が真似て歌っていたので、かなり難しそうでした。
聴いていてイラッとくる感じは、
原曲も同じなので、わざとだと思いますが、良かったです(笑)
オーケストラアレンジされることで、全体に可愛くなったと思いますが、
原曲の面白味は減ったかなあ、とも思います。
かといって、どうアレンジすれば良かったのかは思いつきません。
作詞・作曲のJonathan Coultonさんが自らやっているように、
思い切ってギター弾き語りバージョンとかでも良かったかも。
原曲からは、さらに離れちゃいますけど(笑)

原曲の歌詞はもちろん英語なのですが、
コンサートでは企画者の野島一成さんが日本語に訳した歌詞で歌っていました。
日本語で歌っているのを聞くと、ちょっと、
オペラやミュージカルを日本語で観るときのようなむずがゆさがあったり。
もとの英語の歌を知っているからなのだと思いますけど。

翻訳がどんな風かというと、たとえば次の2行は、

Now these points of data make a beautiful line / データはきれいに噛み合って
And we're out of beta, we're releasing on time / 計画通りに間に合って

原文の韻踏みまで、日本語に移し替えようと頑張ってますね。
原文の、いかにもコンピュータらしい(というか、プログラマーらしい)
言い回しまでは再現できていませんが、
英語と日本語では言葉の密度が全然違うので、そこまでは望めません。
まあ、全体的に、日本語で歌うとどうしても「詩的」になってしまって、
コンピュータらしさが薄くなるのは、難しいところですねー。
訳者もその点を気にしていたのか、歌の最初のほうで、

I'm making a note here: huge success / 大成功をメモリー

と、逆に、原文にはない、コンピューターらしい表現を出していました。


と、ここまでがコンサートの第一部、休憩前までの曲目でした。
個人的にいちばん良かった、というか、面白かったのは、
得体の知れなかった『"ファミコンここまで出てるのに"メドレー』でしたね。
音楽的にどうこうというより、とにかく、いちばん盛り上がっていました。

第2部、そしてアンコールについては、また次回、いつになるやらですが...

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コメント(2)

少しお久しぶりでございます。
レポートがんばってますね!素晴らしいです。

自分の方はようやくリトルジャックさんのFF6コンサートの
本レポをアップできたものの、まだプレスタと
ドラクエのコンサートの本レポが残ってます(汗
もう1か月も前のことなんで、さすがに細かいところの
記憶が薄れてきて、どうしようかな・・・と思案中です(苦笑

ヘレンさん、いらっしゃいませ! ありがとうございますー。
そちらの熱いレポートも拝見しています。
時間が経ってくると、もう、過ぎたことはいいじゃないか、
という気持ちにも、正直なってくるのですが、
ここまできたら最後まで書かないと、ですね。

自分の場合、書く内容そのものは箇条書きですでにメモってあるのですが、
メモをもとに文章に書き起こすのに時間がかかっているという感じです。