2008年12月 3日 10:53

『犬耳家 親族会議vol.1』レポート的なもの

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もう開催から一週間以上経ってますが、それが籠入りクオリティですご了承を。
そんなわけで、続いては11/24開催の『犬耳家 親族会議vol.1』へ。
あ、ファミ通.comのレポートもありますので、お急ぎの方はそちらへどうぞ。
なにせプロの方ですから、すっきりまとめられていますし、演奏中の写真もあります!
狭い空間だったので、カメラを持つ方々もすぐそばに座っていたりする状態でしたが、
ファミ通の記者の方もいらっしゃっていたのですねー。
(あ、演奏中も含めて、ライブ中はずっと動画が撮影されていたのですが、
権利関係をクリアできるものについては、動画公開も予定されているそうですよ)
あと、Dog Ear Recordsのブログ記事にも写真がたくさんあります。


場所は、代官山にあるライブハウス『晴れたら空に豆まいて』
代官山ですよ! 開場1時間前に着いてみたら、まだ誰もいなかったのですが、
開場まで時間をつぶそうにも、値段を見てびっくりなお店しかなくて困りました。
で、クレープ屋さんの看板(『spoon & co.』)に、思わずふらっと入ってみたのですが、

旅行中で金銭感覚がマヒしていたため、トッピングもがっつり試してみた結果。
いままで食べたことのない香ばしさと歯ごたえで、とても美味しかったのですが、
いま日常に戻ってみると、これが1050円だったんだよなあ、と...。
というか、なんの話でしたっけ。

えー、ライブの話ですね。当日(11/24)は雨だったのですが、
ライブハウスっていうとよくあるように、狭い階段を降りた地下深くだったりするので、

こいつを降りるとき、見事に足を滑らせて何段か転げ落ちました。
(もうひとつ、もうちょっと安全な階段もあったんですが...)
なもんで、1週間以上経った現在も身体が何か所か痛いのでした。
クッキー等を差し入れさせていただきましたが、粉々になってなかったでしょうか...。

というぐらいの状態だったのですが、ほんとに冗談抜きで、
ライブ中は最初から最後まで、いちども、痛みを感じなかったどころか、
ぶつけたということすら思い出さなかった、そのぐらい夢中になれたイベントでしたね。


東急東横線代官山駅からすぐ。黄色い看板が目印です。(ちょっと宣伝風)


あいにくの雨でしたが...ノビヨ師匠(=植松伸夫さん)ファンにはそんなこと関係なし。
...えっと、ほんとに念のために、真面目に補足しておくと、
植松さんは『ファイナルファンタジー(以下、FF)』シリーズの音楽を作ってこられた方で、
現在は独立してご自身のレーベル(Dog Ear Records)を中心に活動されています。


入り口の上に出ているのは、ジャジャヤン・ソラマーメー氏の直筆の詩だそうです。
...えっと、ほんとに念のために、真面目に補足しておくと、
ソラマーメーさんは架空の人物かと思われます。


ライブ料金3500円+ワンドリンク500円。
入場時に石を一つもらって、これとドリンクを交換するのでした。
自分は、何か忘れましたがジュースと、あと別料金で豆の盛り合わせも注文。
けっこう時間があったので、開演前に食べ&飲み終わりました。
主催者や出演者の方も普通にそこらにいらっしゃったので、お話をさせていただいたり。
さすがに植松伸夫さんは開演前には出ていらっしゃいませんでしたが。

入り口付近には物販コーナーが。(といっても机ひとつでしたが)
そのときは気づかなかったのですが、
物販にいらっしゃったのが植松伸夫さんの奥様だったのでしょうか?
毎度おなじみ...と言うと怒られそうですが、THE BLACK MAGESのTシャツには、
おまけで、バンドメンバー全員のサインが入ったライブのパンフレットつきでした。
CD販売は、今回出演された江草啓太さんのミニアルバム『KALAYCILAR』と、
hejmsopiroのトシバウロンさんが以前所属していたバンドBUTTER DOGS『SKY』
『SKY』のほうは、少数しか持って来られていなかったようで、開演前に完売とのこと...
すみません、帯の「なめるな日本のアイリッシュ」の文字だけ見て勢いで買いました...
でもよく聴いてます楽しいです。いずれはhejmsopiroのほうでも是非アルバムとか...。

会場はライブハウスということで、こじんまりとしてシンプル。
床に人数分の椅子を並べていくのですが、普通は100席ほどのところ、
希望者が多かったため、130席? ほどが用意され、超満員でした。
そういった作りのため、後ろのほうが高くなっているということもなく、
ちょっとステージ上が見にくそうな感じ...でしたので、
通路際に陣取って、通路ごしにステージを見られるような場所を確保。
(後ろのほうに一段高くなっているところはあるのですが、そこは関係者席でした)


さて、ライブの始まりに、舞台上に登場されたのはもちろん、
我らがノビヨ師匠こと、Dog Ear Records代表・植松伸夫さんと、
ファミコン時代から植松さんのお仕事を支えてきた、松下プロこと松下謙介さん。

今回のイベント名の「犬耳家」とはもちろんDog Ear Recordsのことですが、
「犬耳家の一族」は、ライブの出演者を含め、一緒に活動する仲間たちのこと。
そして、同じく「親族」とは、応援してくださる皆さんのことですよ、というお話。
って、文字で書くとあれですが、松下さんの話術もあって会場はわいてたんですよ。
そんな感じで、人数的にも雰囲気的にもアットホームな感じで、ゆるく。
でも、演奏はしっかりと、ライブがスタートしました。


一組目の出演者はhejmsopiro(ヘイムソピーロ)。(→紹介動画
エスペラントで「郷愁」とか「ノスタルジー」という意味だそうです。
メンバーは過去に、植松伸夫さんのファンクラブ"ノビヨのしっぽ"時代に、
ファン感謝祭というイベントで演奏をされた方々が中心となっています。
メンバーは、リーダーでティンホイッスルなどの笛系を担当された尾形廣さんに、
アコースティックギターの富田亮輔さん、フィドル(バイオリンの別名)の檜山太一さん、
バウロン(太鼓)のトシバウロンさん(本当は本岡トシさんですが今回はこの名前)。
ちなみに尾形さんはニコニコ動画で一人多重奏を発表されている方でもあり、
その曲目はアイリッシュから東方系・FF11などのゲーム音楽まで幅広いのです。

* アイリッシュメドレー (Down By The Sally Gardens ~ St. Anne's Reel ~ Toss the Feathers ~ The Glass Of Beer)
* 街のテーマ (FF5より)
* アイリッシュメドレー (The Connaughtman's Rambles ~ The Blarney Pilgrim)
* Ronfaure (FF11より)
* 月影舞曲
* 空の海を求めて

という内容でした(尾形さんのブログ記事より)。
2つめのアイリッシュメドレーのほうでは、ノビバウロンこと植松伸夫さんがゲスト参加。
担当された楽器はもちろんバウロンで、トシバウロンさんとツインバウロンでした。
FF11の『Ronfaure』は、もちろんロンフォールの曲なのですが、
曲が始まったときに、どよめきが起きていました。そんなに人気曲だったのかあ...。
『月影舞曲』と『空の海を求めて』は尾形さんのオリジナル曲でした。
尾形さんのサイトから聴けます)
綺麗で、印象に残るメロディの曲だったのですが、
植松さんから、最後はアイリッシュの舞曲で盛り上がって終わるといい、との助言も。

あとは植松さん・松下さんも入っていろんな会話がありました。
メンバーのうち2人は、FF4のアレンジアルバム『ケルティック・ムーン』の影響で、
アイルランド音楽に興味をもち、演奏を始めたのだとか。
『ケルティック・ムーン』は、日本でアイリッシュブームが来るずっと前の作品ですが、
参加ミュージシャンには、今考えるとかなりの大物が大勢いる、といったお話でした。
植松さんはアイリッシュ音楽の魅力として、
"悲しげなメロディなのに激しいリズム、という不思議な感じ"と表現されていましたね。


続いての出演者はCELLYTHM(チェリズム)。(→紹介動画
今年のTHE BLACK MAGES(以下、TBM)ライブのオープニングアクトもされたので、
ライブを観た方はご存知かと思います。
チェロ4人組なのですが、通常はロックで使われるマーシャルのアンプを使って、
弦の音をわざと汚く歪ませて演奏する、というスタイルの音楽ですね。

メンバーは、"ダーアナ"こと穴田貴也さん、"メガネっ子"こと安東和美さん、
"ようこりん"こと太田陽子さん、"しまぁ~ず大竹"こと島津由美さん。
全般にはずかしい感じのニックネームは、べつに罰ゲームというわけではなくて、
観客が各メンバーに親しみをもてるようにと松下さんが10分で考えたそうですよ。
もちろん、全員がチェロ担当で、ロックとは縁遠い世界で活動してきた方々。
穴田さんのチェロは、清田愛未さんのアルバムなどでお聴きする機会がありましたが、
開演前にそのお話を振ると、「今日は清田さんの曲とは真逆の方向性ですね!」と、
でも自信に満ちたお話しぶりで。ちなみにその時、あと3名の女性の方々はというと、
穴田さんいわく「一見丸の内OL風」に、店内のカウンターに並んでお話をされてました。

* Battle Theme (FF6の通常戦闘より)
* Immigrant Song (移民の歌/レッド・ツェッペリンのカバー)
* Eleanor Rigby (エリナー・リグビー/ビートルズのカバー)
* Clash on the Big Bridge (ビッグブリッヂの死闘/FF5より)
* Those Who Fight Further (更に闘う者達/FF7より)

TBMライブのときは、まだ各々の演奏について模索していたというメンバーですが、
今回はしっかり度胸をつけて全員が堂々と演奏できていた、
(植松さんいわく「しっかりワルくなってきた」)とのことでした。
FFからの曲目については、TBMライブのときと同じだったと思うのですが、
アレンジは少し変わっていて、さらに演奏面での成熟もあって、
特に『ビッグブリッヂ』は、ほとんど別物というぐらいの演奏になっていたと感じました。

また、今回は、FFだけでなく、ロックの名曲をカバーすることで、
バンドとしての方向性も、より明確に表明していたように思えます。
ちなみにImmigrant Songは、TBMのギタリストでもある岡宮道生さんのアレンジ。
Eleanor Rigbyのアレンジは、成田さんという方で、Dog Ear Recordの秘密兵器だとか。
(追記:このときは名字しか聞けなかったのですが、たぶん、成田勤さんかな?)
お二人とも、観客として、一緒にライブを楽しんでいらっしゃいました。

上の紹介動画でも、ビートルズナンバーの演奏を流していますが、
単なるFFカバーバンドではなく、いろんな枠を外して活動していこうということです。
...って、wappaさんに尋ねたらそういうお答えだったんですけどね(笑)
来春に、ミニアルバムを発売予定とのことでした。


次の演奏のため、グランドピアノのセッティングをしている時間に、
植松さんと松下さんのほうから、いくつか発表や告知がありました。
それぞれの詳細は、以前の記事に書きましたので簡単に。

・『THE BLACK MAGES III』ライブDVDが発売決定
・植松伸夫さん公式ファンクラブ、来年1月の開始予定
・『CELLYTHM』のミニアルバムが来春発売予定
・植松さん作曲の『ロード オブ ヴァーミリオン』サウンドトラックが来年1/1発売
・テレビアニメ『グイン・サーガ』の音楽を植松さんが担当
・植松さんがWOWOW『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース 第6話』で音楽担当
・植松さんが密かにソロプロジェクトを進行中


さて、いよいよライブのトリをつとめた、江草啓太さんの登場。(→紹介動画
江草さんは、ピアニストとして、スタジオワークやライブなどで長年活動されており、
最近では、『ぱちんこ 冬のソナタ2』のCMとか、
SMAPが出演しているNTT東日本のCMで流れている曲のピアノ演奏をされたとか。
そんな江草さんに、wappaさんはDog Ear Recordsに入る前から注目されていて、
そして今回Dog Ear Recordsからのアルバム発売となったそうです。
ちなみに、お父様の江草啓介さんも、ジャズピアニストとして活動されている方で、
植松さんも作曲に参加された『アナタヲユルサナイ』でも演奏されていたりします。

* KALAYCILAR (トルコ民謡より)
* SIMOON (YMOのカバー)
* 東京都にタヌキがあらわれた
* Distant Worlds (FF11より)
* AISHA (モロッコ民謡より)

すべてグランドピアノでのソロ演奏。
ジャズを下敷きにしているようではありますが、
民謡などを取り入れているように、その音楽には枠がなく、変幻自在のピアノ演奏。
このうち、民謡をアレンジしてピアノ演奏されている『KALAYCILAR』『AISHA』
そしてYMOのカバーである『SIMOON』は、デビューアルバム『KALAYCILAR』収録曲。
(それぞれYouTubeのDog Ear Recordsチャンネルから、上のリンク先で聴けます)
『東京都にタヌキがあらわれた』は江草さんのオリジナル曲です。
『Distant Worlds』は、当ブログをご覧の方なら周知のこととは思いますが、
『FFXI プロマシアの呪縛』で流れる、増田いずみさんの歌のアレンジです。

自分は後ろのほうで観ていたのですが、前述の通り椅子を並べただけで段差がなく、
ピアノを弾く手元が見えなかったので、思い切って目を閉じて聴いていました。
『Distant Worlds』を目の前で生で聴くのは、オリジナルの増田いずみさんの歌、
谷岡久美さんのピアノソロ、THE BLACK MAGESのロックアレンジに続いて、
これがもう四度目になるのですが、初めてこの曲で本当に涙が出てきました。
理屈でなくてただそうなのだから、言葉では説明できないのですが、
植松さんのお言葉を借りれば「音に対して何かを持っている人」なのかもですね。


さて、ライブはこれで終わったわけですが、まだ終了予定時間まで30分以上。
最後に始まったのは、なんと、植松さんも含め、出演者全員との握手会、でした。
もちろん握手だけでなくて、少しばかり会話できました。
少人数のイベントだからこそできる、嬉しいおまけですね。
席も後ろのほうだったので、ゆっくり考えつつ順番を待って、
出演者全員と、それぞれ違うお話しができました...たぶん、たしか。

さらに、記念品として、出演者全員の直筆サイン入りポストカードがプレゼント。

(表面と裏面。犬三頭の顔のマークは、犬耳家の家紋なのだそうです。
サインをネットにアップするのって、失礼にあたらないかなあと毎回気になるのですが、
これについては、全員に配られたものですし、ちょっぴり雰囲気をおすそわけで...)

ちょっとしたものですが、こういうのが嬉しいんですよね。
百数十枚にサインする方々にとっては「ちょっとした」どころではないかもですが...。

そして、江草啓太さんのミニアルバム『KALAYCILAR』の購入者には、
CDのジャケットに江草さんのサインを書いていただくこともできました。

なのですが、この辺になるとかなりフリーダムな雰囲気になっていて、
握手会が終わってバラけたあとの出演者と話し込む人とか、
植松さんに名刺を差し出す人とか、
植松さんに(ポストカードと別に)サインをねだる人とか、
出演者じゃないけど会場にいらした岡宮道生さんにまでサインをねだる人とか、
えっとまあぜんぶ自分ですけども。

あと、これは自分じゃないですが、
植松さんと一緒に写真を撮っている方も結構いらっしゃいましたね。いいなあ。
というか筆者、会場内でまったく写真を撮っておりません。がっつり忘れていました。


会場で配られていた江草啓太さんトシバウロンさんのフライヤー。


主催者は、ファンサービスに満ちたあたたかい舞台を用意する。
観客は、しぜんと一体感のある盛り上がりで、楽しい会場の雰囲気を作る。
小さな会場だからできる幸せな関係だったと思います。

今回のライブとか、昨年の光田康典さん&崎元仁さんの室内楽コンサートなど、
こじんまりとした場所で少人数(演る側も見る側も)というのはすごく楽しいのですが、
すぐに席が埋まってしまって、行きたいけど行けない人が出てくるんですよね。
今回は、予約開始(0時)から1時間で70席ほどが埋まって、1日で100席ほど、
そしてその後1週間以上は席が取れる状態だったと思うので、
比較的、席はとりやすかった様子ですが、
次にやるときは、もっと予約するのが大変になるかもしれませんねー。
かといって、場所を広くすると雰囲気が変わってしまいますし、
複数回公演するのも、大変でしょうし...とか、難しい問題はありますが、
ゆるいノリを保ちつつ、楽しいライブイベントとして、
これからもそこそこ続けていっていただきたいなあと思います。


で、全然関係ない話題でしめて(もとい、ゆるめて?)おくと、
東京にいるときは、たいがい京王井の頭線の沿線に泊まっているのですが、
ちょうど渋谷で乗り換えるときの通り道に『明日の神話』が設置されてました。
設置された直後の時期だったので、立ち止まって見る人や写真を撮る人が多数。

岡本太郎さんの作品ですが、去年、東京都現代美術館で見て以来だったので、
1年ぶりの再会ですね。お元気でしたか。今度は恒久展示ってことで何よりです。

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