2009年8月25日 20:27

FF6コンサートでした:レポート的なもの

さきほど、でかいものが届きましたが、その話はまた後にしまして。
リトルジャックオーケストラのFF6コンサートの話の続きです。

この↑FF6のサウンドトラックのブックレット、どこかに落としてきたかも...
追記8/26:どなたかが届けてくださって、保管されているようです。
 来月の上京時に受け取りに行きます。ありがとうございます!)

リトルジャックオーケストラ 第6回定期演奏会
日時:2009年8月23日(日) 開場12:00/開演13:00
会場:横浜みなとみらいホール 大ホール
指揮:志村健一さん
演奏:リトルジャックオーケストラ

演目:植松伸夫さん作曲『FINAL FANTASY VI』より
ゲスト出演:植松伸夫さん

コンサート会場で思ったのは、
『PRESS START』など他のゲーム音楽コンサートと比べても特に、
観客の年齢層が偏ってるなあ、ということです。
具体的には、10代のころにスーパーファミコンでFF6を遊んだ世代。
社会人になって、それでもあの頃のゲーム音楽を愛しているファンたち。
もっと言うと、観客だけでなく演奏者も大半がその年代の方々に見えました。
そのことだけをとっても、みんなでひとつの気持ちを共有できる、
幸せな空間だったのだと思います。

あと、これは余談ですが、ときどき客席から赤ちゃんの声がしていて、
もうそういう年代でもあるんだなあ、と...(笑)
あ、親御さんが同年代の方だったのかどうかは知りませんけど。

開演前には、ホールのロビーで、予備コンサートとして、
室内楽風に、小編成での演奏をやっていました。
メンバーを入れ替えつつ、コンサート本編とは別のFF6の曲を。
オペラシーンの前半とか、『ジョニー・C・バッド』『スピナッチ・ラグ』とか。
ほんとうにゲーム音楽を演奏するのが好きなんだな、と、
聴いていて、楽しくなるというか、嬉しくなりますね。


『予兆』 ~ 『ティナのテーマ』

コンサートの始まりはこの曲しかないでしょう、という感じで、
タイトル画面からオープニングにかけての曲『予兆』。
最初から、今回の目玉でもある、パイプオルガンを駆使した曲ですね。
FF6が出た当時、ゲーム好きでエレクトーンとか持ってる子は、
誰でもこのイントロの和音を鳴らしてみたはず...、でもないか(笑)
ともかく、みんなが聴いたり弾いたりしたインパクト抜群のイントロですが、
本物のパイプオルガンでの演奏は説得力ありすぎです。
同じくパイプオルガンが使われていた、
『モンスターハンター 狩猟音楽祭』(→レポート)でも書きましたが、
パイプオルガンというのは、楽器でもあり建造物でもあり。
ここまでいくと、存在感とか主張とか、そういう次元じゃないですもんね(笑)

これ全体がパイプオルガン。人間と比べるとそのスケールがわかるでしょうか。

で、次の『ティナのテーマ』へと続くのですが、
もともと『予兆』の中に『ティナのテーマ』の一部が組み込まれているので、
そのまま、自然な感じでつながりましたね。
この曲に限らず、メドレーアレンジでも、なるべく原曲の要素を崩さないように、
丁寧につなげられていて、リスペクトを感じます。


『戦闘』 ~ 『勝利のファンファーレ』

そのまま、間をおかずに(拍手もなく)『戦闘』へ。
これは通常戦闘曲ですが、後の曲目で、他のバトル曲もすべて演奏されました。
FF6のバトルはもともとオーケストラとはかけ離れた曲が多く、
アレンジするにも演奏するにもハードルが高いと思うのですが、
「全部やりたい!」というこだわりだったのでしょうか。


『街角の子供達』

ここで、初めておだやかな曲が登場。
キャラクターのテーマがいくつかかくれている、とのことですが、
気にしないで聴いていたので、気がつきませんでした...。


『魔導士ケフカ』 ~ 『幻獣を守れ!』 ~ 『決戦』 ~ 『死闘』

タイトル画面に劣らずインパクトを残したケフカのテーマ(とキャラ)。
FF6といえば欠かせないあの笑い声も、ストリングスで再現されていました(笑)
アレンジそのものは原曲の雰囲気の再現を目指しつつ、
こういった遊びもところどころにはさんできます。
『幻獣を守れ!』から中ボス曲『決戦』への流れは、
ゲーム中でも特にテンションの上がる場面ですね。
個人的には序盤のナルシェ。ズモモグ。
続いて、さらに激しい、アルテマウェポンや三闘神などとの戦闘曲『死闘』へ。
このあたり、さすがにテンポを落として演奏していましたが、
それでも迫力はじゅうぶん。


『婚礼のワルツ~決闘』~『大団円』

休憩をはさんで、オペラシーンの後半(アリアの後)から最後までの演奏。
例によって、サウンドトラックにも収録されている天井裏からの落下音も、
トロンボーンと太鼓で再現していました。
そのあと、仕込みの観客がざわざわすれば完璧でしたけれども(笑)
この、FF6の特徴でもあるオペラシーンそのものは、
オーケストラやTHE BLACK MAGESのロックアレンジでも演奏されていますが、
それらは、ゲーム中とは違い、オペラが中断されなかったという仮定で、
オペラの終幕の部分が新たに書き足されて演奏されています。
ですので、逆に、ゲーム中の展開の通り、オペラが中断されて、
ここでしか使われない戦闘曲『大団円』まで演奏されたのは、初めてかも?
『大団円』は、原曲でもティンパニが目立つ曲でしたが、
あれだけ叩けるとティンパニ奏者も気持ちいいだろうなあと(笑)


『迷いの森』

FF6はスーパーファミコンでクリアして以来さわっていないので、
じつに15年前の記憶になっているのですが、
そうすると、昔見た不思議な夢のような、断片的な記憶になっています。
頭に浮かぶこの場所はどこだろう?
どういう話の流れでこのセリフが出てきたんだったかな? などと。
そういう意味で、自分にとっての、FF6を象徴する曲が、
夢の中にいるような雰囲気のダンジョン曲『迷いの森』です。
曲の途中、スネアドラムで魔列車の走る音が入るという演出も。


『レスト・イン・ピース』~『墓碑名』~『仲間を求めて』

いきなりゲームオーバーの曲から...なのですが、
考えてみるとこの曲、イベントシーンでも結構使われていた気がしますね。
団員の手によるコンサートパンフレットによれば、
このメドレーの流れは、ダリルの墓~ファルコン号復活まで、だそうです。
『墓碑名』は『セッツァーのテーマ』のアレンジで、
恋人のダリルを回想するシーンなどで使われていた記憶があります。
FFシリーズ全体の中でも特に人気のある『仲間を求めて』は、
ゲーム終盤にお世話になる、ダリルの飛空艇、ファルコン号の曲。
自分の中では『聖剣伝説2』の『予感』が連想され、音楽的にはまったく違いますが、
どちらも、夕焼けの空の中に浮かぶシルエット、というイメージがかぶります。
ほんとに夕焼けだったかどうかは、いい加減な記憶なのであれですが...


『妖星乱舞』~『蘇る緑』

「本当にやっちゃった!」というのがいちばん大きな感想でした。
FF音楽のファンなら誰でも、生演奏で聴いてみたいと考える大曲、
それを、ファンが自らの力で現実にしてしまった、という意味で。
しかもメドレーで一気に2曲、ほぼ原曲通りに30分を超える演奏でした。

『妖星乱舞』、原曲通りのパイプオルガンの長いソロにも凄味がありましたが、
最後のアップテンポな部分、『決戦』『死闘』とは違い、
こちらは原曲通り...むしろ走り気味に感じるほどのスピード感で、
「ここだけは!」という魂を感じる演奏でした。
豪速シロフォン格好よかったですねー。マレットが見えない!(笑)

そして、生のオーケストラで演奏されるのはおそらく史上初という『蘇る緑』。
前半は各キャラクターのテーマのメドレーに乗せて瓦礫の塔からの脱出を描き、
後半は壮大な音楽と、途中では『ファイナルファンタジー』のテーマをバックに、
蘇っていく世界の空を飛空艇で飛びまわり、そしてスタッフロール。
20分間の曲を、一切はしょらずに、丁寧に演奏していました。


『プレリュード』

FF6のエンディングと同じく、一度間をおいてからおなじみ『プレリュード』。
観客も、頭の中に"THE END"の文字が浮かんでいたのではないでしょうか。

ここでひとまずプログラムに書かれた曲はすべて終了。
指揮者の方がMCもされていたのですが、ちょっと緊張気味に見えました。
オーケストラに向かって「FF6クリアした人?」と振るのは良かったですがー。
(もちろんたくさんの演奏者が挙手していました)
でも、もしかしたら、緊張していた理由のひとつはこれかもしれません。
ここで、サプライズゲストとして植松伸夫さんが登場されました。
(植松さんも普通に客席にいたらしく、気づいた観客も多かったようですが)

植松さん、PRESS STARTなどのステージも含め、普段は、
周囲をリラックスさせるようなゆるいトークを展開されることが多いですが、
今回は、いままで見たことがないほど真剣な口調で、熱く語っていました。

現在行われている海外でのFFコンサートツアー『Distant Worlds』でも、
『妖星乱舞』を演奏しているものの、ここまで原曲に忠実な構成ではないし、
『蘇る緑』は、植松さんが曲を作った時以来、15、6年ぶりに聴いたとか。
そして、それらを現実になしとげたのは、
何よりもファンの方々の、ゲームを愛する情熱なのだということ。

FF6のときの話ということで、
打ち上げでディレクターの坂口博信さんが
「宇宙一のソフトができました」と言ったそうですが、
FF6での50名ほどのスタッフのチームワークが特に素晴らしかったことを、
団員の方々のチームワークを見ていて思い出したのだとか。

こういう形で、ゲームを通して、
みんなが音楽を楽しく奏でてくれることが嬉しいということと、
これを聴いて、自分もやってみたい、という人が増えてほしい、
という話でしめくくりました。

そして、ここからがアンコール。
「曲名は言いませんが、わかりますかね」と指揮者の方が言って...


『Roaming Sheep』

いや、わかんないよ! という選曲(笑)
演奏の後で、何の曲か分かった人が手を挙げていましたが、少なかったです。
もともとは、『悠久の風伝説』という、FF3のアレンジアルバムに、
植松伸夫さんが書き下ろし、おおたか静流さんが歌った曲です。
(後にFFのベストアルバムや、おおたか静流さんのアルバムにも収録されました)
つまり、どのゲームの中でも使われていない曲なのですが、
むしろ、FF6のテレビCMで使われた印象のほうが強い人も多いでしょう。
...という意味では、FF6のコンサートとしてもアリですし、
しかも、もともとパイプオルガンが使われている曲でもあります。
さすがに、歌はありませんでしたが、オルガンを活かした綺麗な演奏で。
これ、ほんとにFFの音楽が好きじゃないと思いつかないなー、という選曲でした。


『水辺~ピアノとオーケストラのための~』(ブルードラゴンより)

植松さんがもともとオーケストラ向けに書いた曲の中では、もっとも美しい...
って、誰が言ってたんだか、植松さんご本人だったか忘れましたが、
これはアレンジではなく、ほぼ原曲通り、中山博之さんの編曲のままの演奏。
生演奏は『ロストオデッセイ』&『ブルードラゴン』のコンサート(→レポート)に続いて、
これが2度目だと思いますが、あれも相当マイナーなイベントでしたので、
生演奏で...どころか、曲自体、初めて聴く方が多かったかもしれません。


『黒い甲冑ゴルベーザ』~『ゴルベーザ四天王とのバトル』(FF4より)

たぶん、だいたいの方は、イントロのパイプオルガンソロを聴いて、
FF4のあの曲、『黒い甲冑ゴルベーザ』だとわかったのだと思いますが、
自分はずっと、何の曲だったっけ...と悩んでました。
FF5のエクスデスのテーマってこんなんだっけ...? とか。
じつはFF4は遊んだことがないので...(ちなみにあと1、2、12がまだです)
CDは持っていて、曲は聴いていますが、あまり曲になじんでいないのですね。
次の『ゴルベーザ四天王とのバトル』は、ゲーム以外でも聴く機会が多い、
人気の曲ですので、この曲が始まってやっと、
「あ、さっきのがゴルベーザのテーマか!」と気づいたのでした。
とはいえ、FFでパイプオルガンといえば、
FF6の曲とともに、『ゴルベーザ』が思い浮かぶ人も多いのでしょう。
FF6のコンサートといっても、やっぱりせっかくのパイプオルガン、
この曲もやりたい...という団員の方々の想いがあったのでしょうねー。


Grand Finale?

アマチュアオーケストラのゲーム音楽コンサートに行くのは初めてでした。
(予約制で確実に席が取れないと、関西から行くのは厳しいのです)
正直を言うと、これまで、アマオケのコンサートに対しては、
言葉は悪いですが、"廉価版"みたいなイメージがありました。
でも今回、本気の「好き」とか「リスペクト」をいっぱいに表現した演奏で、
同じ想いを共有する観客とひとつになった、幸せな空間を体感して、
「ここにしかないものもある」と、気づかされました。

もちろん、踏んできた場数が違うプロの演奏と比べれば安定感こそ欠けますが、
たとえば弦のピチカートが揃いにくいとか、スネアが入ると走りがち、とか、
自分もちょっとだけオケやっていましたので、「あー、わかる...」とか、
いや、偉そうですけども、勝手にそれも含めて、楽しんだ感じですね。

アレンジには、ファンならば「くすっ」とできる演出も入れこみつつ、
それでいて、ゲーム音楽でコンサートをやるときによく考えられるような、
ゲームを知らない人でも聴きやすく...とか、音楽的に膨らませて...といった、
サービス精神、またはある種の"色気"をとっぱらって、
「自分たちはこれでいきたいんだ!」という、
良い意味でアマチュアらしい、真っ正直なアレンジ・演奏で、やられましたねー。
それを聴くほうも、まあ大体がFF6のファンなのだ、という信頼関係があればこそ。

配布されたコンサートのパンフレットに書かれた、演奏曲の解説も、
同じように、FF6への愛と、笑いと、リスペクトにあふれていますね。

ファンが、ファンのためにやりきったコンサート。
その空気も含めて、堪能させていただきました。

パンフレットにはさみこまれていたチラシの中には、
植松さんの新曲『南の島のヤシの実物語』の宣伝のほか、
Ensemble Game Classica星の調べTHE MUSIC MAGESという、
リトルジャックオーケストラ同様、ゲームファンによる楽団の演奏会予告も。
その中でも、Ensemble Game Classicaのコンサートは、もう今週末ですね。
東京だけでなく、大阪でも開催してくださるのは、とてもありがたいです。
こちらも、楽しみにしているところです。

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コメント(8)

お疲れ様でした~
要所要所演奏ミスったな、というのもあったけど、逆に荒削りな感じでよかったですねー

私からのサプライズメールもよかったでしょう?w

メールありがとうございました。
あれはちょっとびっくりするぐらいキレイに決まりましたね!(笑)
一緒に行った友人以外とはまったく連絡を取り合っていなかったので、
会えないかなあと、あきらめ気味のところだったので、うれしかったです。

演奏、音を外すとかは一瞬のことなのであんまり気にしないのですが、
縦の線(リズム)がずれていると、聴いていて、ついハラハラしちゃいますね(笑)
でも、はるばる聴きに行って良かったです。

アマチュアだからこそ(?)の遊び心みたいなのを感じますね。
原作の情景を音で再現するとかプロのオケだとやらないかも。
ケフカの笑い声再現とか聞きたかった…。

うー…。
もっと早くに知ってれば…。
アマチュアじゃ映像化やCD化は期待できないだろうしなぁ…。

演奏にもパンフレットにも、いろいろとネタをちりばめていましたね。
ほんとにFF6が好きな人がやってるんだなーと思いました。
もちろん、しめるところはしまった演奏でしたよ。

そうですね、CD化とかは難しいかなと思いますねー。

今後、自分の知っている範囲で、関東でのアマチュアコンサートは、

Ensemble Game Classica 東京8/29、大阪8/30
http://egc.txt-nifty.com/blog/

Game Addict's Music Ensemble 10/17
http://www.gameband.net/

星の調べ 11/22
http://hoshirabe.info/

THE MUSIC MAGES 2010/2/13
http://www.music-mages.com/

とかですねー。自分はこのうちいくつ行けるのかわかりませんけれど。

多分ブックレットみなとみらいホールで保存されています
是非問い合わせてみてください

おっと、ありがとうございます。
問い合わせてみます。

落とすとか馬鹿だろw

Hehe, これまでの人生、いろんなところでいろんなものを落としてきています(笑)
ブックレットは戻ってきてよかったです。