“プロマシアの呪縛 OST”の楽曲

コンフリクトとは、プレイヤーキャラ同士が対戦するFF11内のゲームのこと。
オンラインゲームでできることといえば「協力」と「対戦」ですが、
直接の「対戦」ができるゲームは、FF11ではサービス開始後2年を経て追加され、
さらに、「プロマシアの呪縛」からコンフリクト専用の戦闘曲2曲も加えられました。
これはそのうちの1曲です。

「攻め」が中心となるモンスター相手の狩りとは異なり、
人間同士の対戦では、ときにはクールに「守り」や「逃げ」も必要となります。
そうした心理的駆け引きのゾクゾク感を表すような、
FF11では珍しい縦ノリ系の曲となっています。
作曲は水田直志さん

ビビキー湾――
ミンダルシア大陸の南東、ググリュー洋に面した入江。
無数の小島に護られた湾内は、穏やかで地味に富み、かつてはタルタル漁民により魚貝や海草の大規模な養殖が行われていた。
戦後、優秀なミスラ漁民の大量進出に伴い、養殖業は廃れてしまったが、魔法で巨大化されたウラグナイトを始め、豊富な水産資源は手付かずで残されていた。
そこに目をつけた漁業ギルドは、最近、この湾内の漁業権を得、小型の魔行漁船で漁を始めた。
いずれ冒険者にも解放し、一儲けしようという皮算用もあるようだ。
(公式サイトより) →公式サイト

ビビキー湾を走る魔行漁船ことマナクリッパーに乗ると流れる曲です。
また、場所は違いますが、
木工ギルドが管理するバージ船に乗ってファノエ運河を移動するときもこの曲が流れます。
いずれも、『時の流れ』に身をまかせ、変化する風景を眺めながらのんびり釣りができる船です。
そんなのんびりモードによく合う、FF11らしい落ち着いた綺麗な曲です。
作曲は水田直志さん

「プロマシアの呪縛」で追加されたダンジョンエリアでの通常戦闘曲(パーティを組んでいる時のみ)。
舞台は、「虚ろ」なる、ひとの『心の深淵』へと導かれます。
しかし、FF11の音楽を聴いてきた人ならば、この曲は
「Battle in the Dungeon #4」と呼んだほうがしっくりくるでしょう。
このように今までと違う曲名がつけられているのは、
これまでのFF11と区切りをつけた
「プロマシアの呪縛」というひとつの作品として扱おうとしているのでしょうか。
ストーリー上もそのような工夫がみられます。

とはいえ、曲自体は他の通常戦闘曲と同じトーンで、
やや引いた視点から戦闘を見ているタイプの曲です。
FF11の通常戦闘は、アクションゲームのように
野原や洞窟といったフィールド上でそのまま行うため、
戦闘が始まるたびに温度の高い曲が流れると
プレイヤーは、燃えるよりもかえって疲れてしまうのでしょう。
作曲は水田直志さん

FF11の世界、ヴァナ・ディールのあちこちを蝕み始めた、虚ろ(Emptiness)と呼ばれる現象。
その真相を追う冒険者たちが、
虚ろなる闇に飛び込むことによって訪れる場所、それがプロミヴォン(Promyvion)。
そこは、ヴァナ・ディールには決して存在し得ない光景でありながら、
一方でヴァナ・ディールを中途半端に模した世界のようでもあります。
その正体は、謎につつまれていますが、
「Promyvion」という名前から男神の名「Promathia(プロマシア)」を連想することはできそうです。

音の数は少ないながら、浮遊感のある独特な音色が響いています。
その点では「ジラートの幻影」に収録された「Tu'Lia」という曲を継いでいるといえそうですが、
曲調は全く違う、暗く不安に満ちた美しい曲です。
作曲は水田直志さん
「プロマシアの呪縛」では、水田さんはまずこの曲を最初に作り、
この曲を基準に、もっと明るい曲や様々な曲を加えていったそうです。

「(They Lived) Happily Ever After」とはおとぎ話の結びに使う決まり文句で、
題を意訳すれば「めでたし、めでたし」。
FF11の音楽は「Vana'diel March」にはじまり、基本的には明るくない方向にまとめられています。
イベントシーンの中で流れる曲は、神秘的なもの、悲しいもの、悪戯っぽいものなど様々ですが、
「プロマシアの呪縛」で追加されたイベントで用いられるこの曲が
それらのなかで唯一、平穏な幸福をイメージできるものでしょう。
作曲は水田直志さん

「Onslaught」とは「猛襲」。
「プロマシアの呪縛」で追加された、ダンジョン以外のエリアでの通常戦闘曲(パーティを組んでいる時のみ)。
これまでの曲名の命名法からすれば、この曲は「Battle Theme #4」となりますが、

"海外の『FFXI』の掲示板とか見てると、
外国の方でも曲に興味を持って、サントラが欲しいという意見も多かったんです。
それで今回、初めてきちんとした英語のタイトルをつけてみました。"
(「週刊ファミ通」2004年12月3日号より)

とのこと。

そのためではないでしょうが、この曲は通常戦闘曲の中では珍しく長いイントロがあり、
気分を徐々に盛り上げていく構成ができているため、
他の通常戦闘曲よりも温度が高く感じられます。
少し違和感もありましたが、繰り返し聴く曲なので、いずれ馴染んでいくものです。
作曲は水田直志さん

「Memoro de la S^tono(石の記憶)」(「''FFXI Opening Theme''」参照)のアレンジ曲で、
「Third」とあるように、ストーリー上つながりのある(おそらくエンディング曲までつながっている)3つ目の曲ですが、
爽やかな「First Ode」、穏やかな「Second Ode」とは全く曲調が違っています。
その理由は、やはり流れる場面が、不安と恐怖に支配されたシーンであるためでしょう。
「ジラート」で流れた上の曲と雰囲気が近く、終わり方を意図的に気持ち悪くしている点も似ています。
原曲となっている「Memoro de la S^tono」の作曲は植松伸夫さん
アレンジは、水田直志さん

ちなみに、原曲の「Memoro de la S^tono」に対してこの曲の「Memoria de la S^tona」という曲名は、
男性形を女性形に変えた、ように見えますが、
じつは、エスペラントには男性名詞・女性名詞の別はなく、
名詞はすべて「-o(複数形は-oj、対格は-on/-ojn)」で終わるようになっているので、
こんなエスペラントの単語はおそらく存在せず、雰囲気で名づけられた曲名ではないかと思います。

「Turmoil」とは「混迷」。「プロマシアの呪縛」で追加されたエリアでのボス戦で使われます。
これまでのストーリーでは、世界の枠の中で様々な強敵と戦ってきましたが、
今回は、世界の存在そのものを揺るがすような戦闘になっていきそうな展開です。

同じボス戦闘曲である「Tough Battle」「Tough Battle #2」では
規則正しいリズムによって、地の底から煽るような重い曲になっていましたが、
こちらは曲名通りの乱れたリズムで、荒ぶる神との戦いを予感させるものです。
作曲は水田直志さん