“イベントシーンBGM”の楽曲

もともとはFF11の正式サービス開始(=発売)前に行われていた
βテストで使われた曲、らしいです。
発売後は長らくこの曲が聞けなくなっていました。が、
「ジラートの幻影」の発売によって、晴れてこの曲もクエストやミッションで復活。
また、2003年に行われたユーザーイベントの「盆踊り」会場で流れていました。
ちなみに、2004年の夏祭りでは、専用の祭囃子のような曲が用意され、流れていましたが、
こっちはもともと盆踊りの曲というわけではないので、和風でもなければお祭り風でもありません。

ゲーム内にある「船宿コーカバ」でもこの曲を聴くことができますが、
「あの日歩いた道」という曲名になっています。

「Anxiety」とは「不安」。
FF11の世界、ヴァナ・ディールも、我々の世界のように、不穏な出来事が絶えないようです。
そのため、この曲も様々なイベントシーンで用いられています。
作曲は植松伸夫さん
FF11では数少ない、ピアノ主体の曲であることもあって、
特に過去のFFシリーズのイメージに近い曲でしょう。

「Black Coffin」とは「漆黒の柩(ひつぎ)」。
漆黒の柩とは、幽霊船・アシュタリフ号の異名であり、そこで行われる戦闘にこの曲が使われています。
幽霊船の調査を依頼された冒険者は、幽霊船を操る謎の男を目撃し、その手下と戦闘することになります。
ただ、ここではプレイヤーが操作するキャラクターだけでなく、
コンピュータが操作する助っ人キャラクターと一緒に戦うということもあり、
それほどシビアな戦闘ではなく、イベントシーンの延長上といった雰囲気もあります。
そういった理由で、他の戦闘曲とは異なり、遅めのテンポで情景を描いている曲です。
そのほか、この不穏な曲調を活かして、クエスト中のイベントシーンでも使われている場面があります。
作曲は水田直志さん。

「チョコボ育成」では、世界チョコボ厩舎協会VCS(Vana'diel Chocobo Society)の協力のもと、
各自がチョコボの育成計画を立てたり、成長したチョコボ同士を交配させたりと、
自分だけのチョコボ育成を楽しむことができます。
(公式サイト「2006.8.22 バージョンアップ」ページより) →公式サイト

2006年8月から、FF11の中で自分のチョコボを育てられるようになりました。
オンラインゲームなので、育成に必要なアイテムなどはもちろん協力して手に入れることができますが、
育成そのものは、自分ひとりで行うことになるので、
いままでのFFシリーズによくある、ミニゲームの感覚に近いでしょう。

チョコボ育成の計画を立てたりする時は、専用の画面に切り替わりますが、
その画面で流れるこの曲は、やさしく子チョコボを(あるいは卵を)見守るような、優しい曲です。
『アトルガンの秘宝』のサウンドトラックには収録されていない曲なので、
発売後に新たに書き下ろされた曲なのかもしれません。
作曲は水田直志さんですが、
最後にちらっと現れる「チョコボのテーマ」のフレーズは、もちろん植松伸夫さんによるもの。

「Eternal Gravestone」とは、「永遠の墓石」。
この曲は、ビシージ(皇都防衛戦)に敗北した時に流れるという話で、曲名もそれに合わせているようですが、
筆者がビシージの敗北に居合わせた時には、この曲は流れなかったので、まだ調査中です。
この曲はもうひとつ、プレイヤーキャラクターがコルセアにジョブチェンジできるようになるイベントの中、
コルセアたちの頭目であるクルタダ(Qultada)が登場する場面でも流れています。

コルセア(Corsair)とは、歴史的には北アフリカ沿岸を根城にする海賊のことだそうです。
当初「ギャンブラー」として設計されていたものが、
海外であまり印象の良くない名前と判断され、変更に至った経緯があります。

1ループが1分弱の短い曲ですが、
このようなベタな盛り上がり方をするイベント曲は、FF11では珍しいです。
特に、弦楽器単音色の、線は細いが折れないイメージは、
なんとなくコルセアというジョブのイメージに合っている気はします。
作曲は水田直志さん。

「Grav'iton(グラビトン)」は登場キャラクターの名前です。
「ジラートの幻影」「プロマシアの呪縛」で追加された地域での、いくつかのイベントシーンで使われます。
このようなシンプルながら旅情あふれる曲調はFF11の得意とするところで、
テレビの旅行番組ででも流れていそうな清々しい曲ですね。
作曲は水田直志さん。FF11では珍しい3拍子の曲です。

ゲーム内にある「船宿コーカバ」でもこの曲を聴くことができますが、
「古の夢」という曲名になっています。

「(They Lived) Happily Ever After」とはおとぎ話の結びに使う決まり文句で、
題を意訳すれば「めでたし、めでたし」。
FF11の音楽は「Vana'diel March」にはじまり、基本的には明るくない方向にまとめられています。
イベントシーンの中で流れる曲は、神秘的なもの、悲しいもの、悪戯っぽいものなど様々ですが、
「プロマシアの呪縛」で追加されたイベントで用いられるこの曲が
それらのなかで唯一、平穏な幸福をイメージできるものでしょう。
作曲は水田直志さん

「Recollection」の主旋律をエレキギターが奏でる曲です。
ベタなエレキギターは好みが分かれそうなところですが、
漢くさくて格好良いイベントシーンに不思議とマッチするためこの曲の人気は高いようです。
作曲は植松伸夫さん
何故かオリジナルサウンドトラックには収録されておらず、未収録曲集のほうに収録されました。

ゲーム内にある「船宿コーカバ」でもこの曲を聴くことができますが、
「もう一度だけ...」という曲名になっています。

「Recollection」とは「追憶」。もう戻らない過去を思う、といったちょっと寂しげな曲です。
「Memoro de la S^tono(石の記憶)」の後半の旋律を用いているのは、「Memoro(記憶)」繋がりからでしょうか。
作曲は植松伸夫さん。FF11ではこのようなイベントシーンの曲を中心に担当していらっしゃいます。
FF11での植松さんの楽曲はFC、SFC時代の素朴な雰囲気を受け継いだ曲が多いですが、
この曲はその代表と言えるでしょう。FF11のみならず、FF史に残る名曲だと個人的には、思います。

「Repression」とは「抑圧」。
どちらかというと重く暗い曲の多いFF11の中でも、曲名どおり、特に重く、ぶ厚い曲です。

これまた「Memoro de la S^tono(石の記憶)」(「''FFXI Opening Theme''」参照)のアレンジ曲で、
これは作曲の植松伸夫さんご自身によるアレンジ。
同じく植松さんによる「Recollection」と比べると、人気の点では陰に隠れている印象がありますが、
これもまた名曲であると思います。

FF11のメインテーマである「石の記憶」には、10種類以上ものアレンジがなされていますが、
その中で最も、原曲の要素をとどめているのがこの曲でしょう。
とはいえ、最後の部分には植松さんらしいオリジナルのメロディーも現れます。

「石の記憶」のアレンジ曲を、個人的な判断で図にまとめてみると、

のようになりまして、
重々しい曲の多い「Repression系」と
美しい曲の多い「Recollection系」に分類できそうです。

「Shadow Lord」とは、「闇の王」。
FF11の開始当初から用意されていたストーリーで、中盤にさしかかろうとするところでこの名を聞くことになり、
さらにその影が現れ、そして最後には戦うことになるという、わかりやすい展開があります。
「闇の王」という、わかりやすい名前といい、これも、初期のFF11によく見られた「原点回帰」のひとつかもしれません。

曲名がまぎらわしいですが、Shadow Lord(闇の王)との戦闘曲は、大曲「Awakening」で、
こちらは、闇の王の影を見るとき、また本物の闇の王との戦闘直前に流れるほうの短い曲です。
「Xarcabard」の寂寥、「Castle Zvahl」の緊張感を越えた先に現れる、ひたすら恐ろしい雰囲気。
また、「デュナミス-ザルカバード」を除く、すべてのデュナミスエリアでもずっと流れているので、
人によってはそちらの印象のほうが強いかもしれません。

作曲は谷岡久美さん(FFクリスタルクロニクル、コード・エイジシリーズなど作曲)、
編曲は谷岡久美さんと岩崎英則さん(フロントミッション4、5など作曲)ですが、
きちんと聴いてみると、岩崎さんの手が加わっている意味がわかります。
コーラスとピアノとストリングス以外にフレーズらしいものは現れませんが、
ぱっと聴きの印象よりも遥かに多くの、謎の音が使われていて、自分の力量ではろくに再現できませんでした。

曲名の通り、「悲しい雰囲気のイベントシーン」一般で使われる曲です。
作曲は植松伸夫さん。FF11ではこのようなイベントシーンの曲を中心に担当していらっしゃいます。
FF11でもたまにこのような植松さんらしいメロディが流れることで、
「そういえばこれFFなんだよなぁ」と思い出させてくれます。

「Memoro de la S^tono(石の記憶)」(「''FFXI Opening Theme''」参照)のアレンジ曲で、
「Third」とあるように、ストーリー上つながりのある(おそらくエンディング曲までつながっている)3つ目の曲ですが、
爽やかな「First Ode」、穏やかな「Second Ode」とは全く曲調が違っています。
その理由は、やはり流れる場面が、不安と恐怖に支配されたシーンであるためでしょう。
「ジラート」で流れた上の曲と雰囲気が近く、終わり方を意図的に気持ち悪くしている点も似ています。
原曲となっている「Memoro de la S^tono」の作曲は植松伸夫さん
アレンジは、水田直志さん

ちなみに、原曲の「Memoro de la S^tono」に対してこの曲の「Memoria de la S^tona」という曲名は、
男性形を女性形に変えた、ように見えますが、
じつは、エスペラントには男性名詞・女性名詞の別はなく、
名詞はすべて「-o(複数形は-oj、対格は-on/-ojn)」で終わるようになっているので、
こんなエスペラントの単語はおそらく存在せず、雰囲気で名づけられた曲名ではないかと思います。

「Memoro de la S^tono(石の記憶)」(「''FFXI Opening Theme''」参照)の、途中の旋律から、
17小節と短いながらも美しく壮大な曲にアレンジされています。
曲調から想像できるように、「ジラートの幻影」ストーリー上の重要な場面、
中盤の山場といえる強敵を倒した直後の場面で、使われています。
最後の、重苦しいストリングスは、これから来る、さらなる苦闘を予感させます。

サウンドトラックの曲目を見ると、
「ジラートの幻影」は、のちの「プロマシアの呪縛」より曲数が少ないように見えますが、
こうした、短いイベント曲が「ジラート」ではサウンドトラックにあまり収録されず、
「プロマシア」では多く収録されている、という違いがあるため、
それも含めると、曲数は同程度になると思います。
原曲となっている「Memoro de la S^tono」の作曲は植松伸夫さん
アレンジは、水田直志さん

ゲーム内にある「船宿コーカバ」でもこの曲を聴くことができますが、
「天空を望みて」という曲名になっています。

FF11のタイトル画面で流れる曲は、『ジラートの幻影』までは「Vana'diel March」、
『プロマシアの呪縛』では「Unity」(欠番になっている「Vana'diel March #3」はこの曲です)、
そして『アトルガンの秘宝』ではこの「Vana'diel March #4」となっています。
『プロマシア』以降でも、曲が最後まで流れ、フェードアウトした後で、「Vana'diel March」に切り替わります。
(ちなみに「Vana'diel March #2」はキャラクター作成時やイベントシーンで流れます)
一連の「Vana'diel March」は、この曲も含め、水田直志さんによる楽曲。

また、この曲は、ビシージ(皇都防衛戦)に勝利(つまり防衛成功)したときにも流れるためか、
「Vana'diel March」のなかでいちばん爽やかな曲だと思います。
特に最後のフルートとストリングスのからみが爽やかです(採譜はかなり怪しいというか勘です)。
タイトル画面ではさっさとメニューを選んでしまうので、ほとんどそこまで聴く機会がないですけれど...。