“作曲:植松伸夫さん”の楽曲

FF11のサウンドトラックで最初に入っているのは、
ゲーム開始時に見ることのできるオープニングムービーの曲です。
作曲は植松伸夫さん、編曲は植松伸夫さん浜口史郎さん(オーケストレーション)。
ムービーの展開に合わせて、曲は4つのパートに分かれています。
展開上、途中で何秒か音が途切れるところがありますのでご注意ください。

1. Legend-The Crystal Theme
 FFシリーズではおなじみ、ハープによる「プレリュード」の旋律をバックに
 FF11の世界、ヴァナ・ディールの神話が語られます。

2. Memory of the People (0:36~)
 かつて、人類と獣人の間で大きな戦争が起きていたころの話。
 戦争末期、これから大事件が起こることになるタブナジアの街へと
 5種族、4大国からなる人類の同盟軍が行進していきます。
 エメリンとアルドの姉弟はそれを眺めていました。

3. Memoro de la Ŝtono (1:37~)
 その夜、タブナジアを、数十万ともいわれる膨大な数の獣人軍が襲います。
 同盟軍は必死の防戦を繰り広げましたが、多勢に無勢。
 街は一夜にして焼け落ちました。
 戦火の中、幼いアルドは姉と離ればなれになり、ひとり逃げ延びたのでした。

4. Memory of the Wind (5:49~)
 それから20年、廃墟と化したタブナジアの街を見上げる青年。
 孤独を味わったその場所へ帰ってきたアルド、しかし
 今はその傍にたくさんの仲間たちが集うのです。
 そして再び流れる「プレリュード」とともにムービーは幕を閉じます。

ところで、アルドはゲーム本編では控えめにしか登場せず、
エメリンとアルドの物語のその後は、ゲーム上でいろいろな話を聞き、
設定を繋げていかなければ判らないようになっています。
この壮大なムービーは、
この世界にこんな出来事があった、という切り口のひとつにすぎません。
歴史上の展開としては、このタブナジア候国滅亡後、
獣人軍を束ねていた「闇の王」が討たれたことによって獣人軍は敗北し、
まとまりを失った各獣人族と人類が散発的に戦っている状況となっています。

オープニングムービーにおいて中核となっている曲が
タブナジアの戦禍の場面で歌われる「Memoro de la S^tono」です。
これはFF11で唯一、歌詞のついたコーラス曲です。
FF11のテーマ曲のように扱われており、
「Recollection」や「Awakening」など数多くの曲の中で変奏されています。
「Vana'diel March」とともにFF11の基底音をなす曲といえるでしょう。

この曲名は、「メモーロ・デ・ラ・シュトーノ」と読み、日本語では「石の記憶」です。
また、正確には「Memoro de la Ŝtono」と書きます。(「Ŝ」は「S」の上に「^」をかぶせた文字)
この見慣れない文字の入った曲名と歌詞はエスペラントという言語で書かれています。
あらゆる国の人々にとって対等な条件で学び、話せるようにと、
19世紀末ごろ、人工的に作られた言語です。

"今(※引用註:音楽制作時)はFFXIは日本国内だけですけど、
 そのうち世界各国でできるようになるんだろうなぁと思ったら、
 日本語の歌詞にしてもわかってもらえないでしょう。
 どの国の人にも平等な言葉がいいのかなぁと思って、
 とりあえず世界共通語といわれている言葉を選びました。
 実際は共通で使われているわけではないけど、
 そういう思想にとても共感したので。
 「言葉による弊害をなくそう。みんなで同じ言葉を話そう。」って素敵な思想でしょう。"
植松伸夫さん(「TOUR de JAPON music from FINAL FANTASY」パンフレットより)

◆ 「Memoro de la Ŝtono」歌詞

飛空艇はFFの歴史とともにありました。
新作が出れば、今度のFFはどこで飛空艇に乗れるのかわくわくしました。
「飛空艇を手に入れた」と言えばそれは相当ゲームを進めたということであり、
同じくFFを進めている友達からはおおっと声があがるものでした。

さて、FF11でもその伝統は継承されており、
かなりゲームを進めなければこの飛空艇の曲を聴くことはできません。
しかし、FF11での飛空艇は自動運転で、のんびりとした空の旅であるため、
いつもの勇ましい曲調と比べると、軽快な曲になっています。
作曲は植松伸夫さん

「Anxiety」とは「不安」。
FF11の世界、ヴァナ・ディールも、我々の世界のように、不穏な出来事が絶えないようです。
そのため、この曲も様々なイベントシーンで用いられています。
作曲は植松伸夫さん
FF11では数少ない、ピアノ主体の曲であることもあって、
特に過去のFFシリーズのイメージに近い曲でしょう。

「FINAL FANTASY XI Original Soundtrack」には、限定版というものがありました。
パッケージが、全面に天野喜孝さんのイラストを印刷した大きな屏風形になっていることと、
2枚組のCDのほかに、DVDが1枚加えられている点が、通常版と異なります。
DVDには、FF11のオープニングムービー(「''FFXI Opening Theme''」参照)が、
5.1ch Dolby Digital版など、音声によっていくつかのバージョンで収録されている他、
「''FFXI Opening Theme''」のオーケストラの収録風景なども収められています。
そしてまた、この曲「Memoro de la S^tono Remix (石の記憶 リミックス)」も、
このDVDの中でのみ、聴くことができます。
既存のCDには収録されておらず、ゲーム中でも流れることはありません。

マンドリン(?)・ヴィオラ・タンバリンの音色のみで作られた、シンプルな曲ですが、
旋律自体は、ほぼ、「Recollection」と同じものです。
というより、この曲名から考えると、
オープニングムービー中のボーカル曲である「Memoro de la S^tono」の
間奏部分をふくらませて作られたこのリミックスを、さらにふくらませて、
「Recollection」という曲が生まれたのかもしれません。
作曲は植松伸夫さん。リミックスは、植松伸夫さんと、岩崎英則さん

「Recollection」の主旋律をエレキギターが奏でる曲です。
ベタなエレキギターは好みが分かれそうなところですが、
漢くさくて格好良いイベントシーンに不思議とマッチするためこの曲の人気は高いようです。
作曲は植松伸夫さん
何故かオリジナルサウンドトラックには収録されておらず、未収録曲集のほうに収録されました。

ゲーム内にある「船宿コーカバ」でもこの曲を聴くことができますが、
「もう一度だけ...」という曲名になっています。

「Recollection」とは「追憶」。もう戻らない過去を思う、といったちょっと寂しげな曲です。
「Memoro de la S^tono(石の記憶)」の後半の旋律を用いているのは、「Memoro(記憶)」繋がりからでしょうか。
作曲は植松伸夫さん。FF11ではこのようなイベントシーンの曲を中心に担当していらっしゃいます。
FF11での植松さんの楽曲はFC、SFC時代の素朴な雰囲気を受け継いだ曲が多いですが、
この曲はその代表と言えるでしょう。FF11のみならず、FF史に残る名曲だと個人的には、思います。

「Repression」とは「抑圧」。
どちらかというと重く暗い曲の多いFF11の中でも、曲名どおり、特に重く、ぶ厚い曲です。

これまた「Memoro de la S^tono(石の記憶)」(「''FFXI Opening Theme''」参照)のアレンジ曲で、
これは作曲の植松伸夫さんご自身によるアレンジ。
同じく植松さんによる「Recollection」と比べると、人気の点では陰に隠れている印象がありますが、
これもまた名曲であると思います。

FF11のメインテーマである「石の記憶」には、10種類以上ものアレンジがなされていますが、
その中で最も、原曲の要素をとどめているのがこの曲でしょう。
とはいえ、最後の部分には植松さんらしいオリジナルのメロディーも現れます。

「石の記憶」のアレンジ曲を、個人的な判断で図にまとめてみると、

のようになりまして、
重々しい曲の多い「Repression系」と
美しい曲の多い「Recollection系」に分類できそうです。

曲名の通り、「悲しい雰囲気のイベントシーン」一般で使われる曲です。
作曲は植松伸夫さん。FF11ではこのようなイベントシーンの曲を中心に担当していらっしゃいます。
FF11でもたまにこのような植松さんらしいメロディが流れることで、
「そういえばこれFFなんだよなぁ」と思い出させてくれます。

FF11とは無関係の曲ですが、クリスマス向けの曲ということで追加しました。
スクウェアの音楽部門が「スクウェアサウンズ」という別の会社に分かれていた頃、
2000年の年末に、クリスマスプレゼントという形で、
PlayOnline.com内、スクウェアサウンズのサイト上に公開された曲です。

原曲は、FFシリーズではおなじみのメロディですが、
シリーズ内でも作品によって、使われている時と使われていない時があるようです。
FF11では、現在のところ、使われていません。
曲名は、「ファイナルファンタジー」と呼ばれることが多いですが、
シリーズ中の、様々な曲に組み込まれているので、抽象的に「FFのテーマ曲」などと呼ばれることも。

クリスマスといえば定番の、スレイベルや鐘の音などのほか、
ドラムセットも積極的に使われており、元気あふれるクリスマスアレンジです。
打ち込みでは再現できませんでしたが、
最後のオルゴールの部分には、大勢の子供たちが遊んでいる声がバックで流れています。
作曲は、もちろん植松伸夫さん
「ロマンシング サガ」シリーズなどで知られる、伊藤賢治さんの手でアレンジされています。